『神狩り』、『弥勒戦争』/山田正紀

神狩り (ハルキ文庫)弥勒戦争 (ハルキ文庫)
 SFをいくらか読んでいながら、日本のSFはよく知らない。理由は一つ、何文庫のどんな背表紙で古本屋に並んでいるかわからんからだ。俺が海外SFを見分けるのは、「ハヤカワSF」か「創元社SF」の色を頼りに、さらにヒューゴー賞ネビュラ賞とか書いてあればオーケーみたいな、それだけだったのだ。
 でも、いろいろ見ていて、なんだったかな、とにかくSFのほか、ミステリでも高い評価を得た人というので、名前を覚え、そうだ、そういやブックオフの文庫棚(日本人作家)は著者順だったと見つけた次第。それで、たまたまあった『弥勒戦争』、そしてデビュー作で名作という『神狩り』をゲット。買う順番としてはよかったんじゃないだろうか。
 それで、どちらも引き込むところがあって、パッと読めてしまった。まあ、ボリューム自体は中編くらいだろうか。なんか、量的に物足りなさもあったけど、がーっという勢いというか、エネルギーみたいなんは感じた。なんかわけのわからんけど、大きな敵と戦ったろうみたいな、そういう感じ。ま、タイトルからして『神狩り』だもんね。
 もちろん、なんというのか、SF要素はばっちりだ。『神狩り』の、あのあたりああいうオチというか、要素というか、そういうのにおわすあたり、あの、たとえばギブスンのあれとか、そういうの、俺は好きだしね。それに、神を狩るってどうやってってあたりの、なんともいえぬ抽象的な感じというか、類推の山じゃねえけど、観念的というか、なんでそんなに戦うのみたいな。それで、ちょっと学生運動時代みたいなところの、そのあたりの使い方はおもしれえって思ったりとか。
 それで、『弥勒戦争』、こっちはどちらかというと、半村良とか、山田風太郎とか、伝奇っぽいというか、そうか、伝奇ものってSFか、とか。それで、こっちは弥勒いうだけあって、仏教がベースなんだけど、にわか仕込みの仏教知識から、あれ、そこんとこ別に仏教は問題にしてないような、でも、全然大乗仏教以外の本は読んでないしな、とか、そんなんひっかかったところもあったけれども、あと、そんなんするくらいなら、なんか逆に、みたいなところもあったけど、まあ、ええか。ええよ。
 それと、そういや、両方とも伊勢佐木町出てきたな、伊勢佐木町。でも、俺の中で伊勢佐木町っていうと、マリナードから出てきて、あの大通り一本分のイメージしかなくて、逆にそれがひっかかったとか、まあどうでもいいか。それで、ともかく、まあ今後も日本製SFは漁っていこうっと。