2009日本ダービーの本命は

 ……アントニオバローズ
 もういい、決めた。ダービーくらいは好きな馬買うさ。いや、好きな馬というより、好きな人馬とでも言おうか。
 鞍上は、角田晃一。こいつはもう、何個ダービーを勝ってもおかしくないタイプだ。フジキセキでも、たぶん勝てていたはずだ。そういう騎手だ。ヒシミラクル、好きだった。
 調教師は、武田博。名伯楽・武田文吾の息子。シンザンの手綱をとったこともある。いいじゃないか、シンザン
 ……なんか、いいじゃないか。ダービーってのは、こんな感じなんだ。あんまりピカピカすぎるのは似合わないところもある。このくらいの地味さでいい。父も兄もダービー馬というのもいいが、これでいい。いや、アントニオバローズだって、父は今をときめくSS直系マンハッタンカフェ、母父はキングマンボ。良血だ。そこんところもいい。いいじゃないか、なんかいいんだ、アントニオバローズ。厩舎の地味さというのもいいんだ。サニーブライアン中尾銑治調教師みたいじゃないか。そんで、逆襲の角田じゃないか。ダービー2勝の小島貞博だって、戸山為夫死後に不遇の時代もあったさ。
 だから、今年のダービーはアントニオバローズを買う。リーチザクラウンがもがき、ロジユニヴァースが失速し、アンライバルドが府中の直線で切れが鈍る中、力強く、ナタの切れ味で、アントニオバローズがぶった切るんだ。どんより曇った府中、少し重めの芝、マンハッタンカフェの子らしく、ぶった切るんだ。そしてみんな、角田がなにか、とてもスペシャルなジョッキーだったって、思いしらされるんだ。それが俺の、2009年の、ダービーだ。俺は今、そう決めたんだ。