さて、帰るか

 ひさびさに遅く、遅くなった。忙しいには忙しいが、本当はここまで忙しくない。なんとなく、帰りそびれてだらだら。まあ、いいや。それに、なんかこのオフィスが遅くまでいると、上の階のおばあさんに、防犯対策になるってよろこばれるしな。でも、帰ろう。まだ暗い。寿町から人の気配。コンビニの光。スナックから漏れる光。煙草と香水の入り交じったにおい、ヤクザのにおい。橋、寝ているおっさん。コンビニのトラック。水たまり。そんな中を通って。さようなら。