冬の川崎65kmの旅〜海底トンネルを歩いて東扇島公園へ行くのこと〜

はじめに

  • 写真アップする前にリサイズし忘れたので、無駄に大きい。
  • その写真はといえば、iPhoneのToyCameraというアプリに頼りっきりだ。
  • 今のところ飽きてないし。
  • なお、文章内に出てくる、俺を含めた人間たちが、いろいろのルールや規則、法律に則っているかどうかは保証しかねます。その場、その時で、各々判断されたい。

ちどり公園を目指して

 朝早く起きて窓の外見たらなんかどんより曇ってて、こりゃしゃあないって二度寝、次起きたらちょっと晴れてたので、自転車でふらりと出かけることに。……このふらり、これが難物だ。あまり上下自転車自転車した格好というのもダメだ。あくまで、自分の中でふらりの速度、ふらりの距離だ。と、iPhoneのマップでふらり目的地を血眼で探した結果、川崎にある「ちどり公園」が目的地になった。

 埋立地の先っぽにある公園だ。これだけで、だいたい行かなくてもどんなものか想像がつく。しかし、想像が裏切られてはいけない、俺は想像を裏切ってはいけない。俺はそういうところが好きなのだ。

第一京浜から、鶴見のあたりで右の方へ。いつも立ち寄る公衆トイレの向こう岸に生麦事件の記念碑があった。

CADで無理矢理字を書くとこういう風になるんだっけ、とか。

なんかいいよな、とか。

入船公園、チューリップの球根。この公園は運動公園で、日産系の会社が指定管理者だった。

臨海鉄道

このあたりはだいたい鶴見線とか神奈川臨海鉄道とか走ってて泣ける。俺は電車マニアではないので、それぞれの価値のようなものはよくわからないし、知識もないが、「好もしい」という思いがする。「萌え」といってもいいかもしれない。なんかこういうのいいじゃん。たぶん、マニアにならずとも、「好もしい」と思う人の方が多いような気もする。なんか、いいもの。この日も、一つの駅のホームに、望遠レンズで今か今かと電車を待つファンが一人いた。





工場地帯にて

埋立地の工場地帯というのもだいたいよくて、好もしくて、なんか脳みその中のよだれが垂れるような気になる。正直、自転車乗っててよかったな、とか思う。いや、べつにバイクでもいいんだろうけど。ただ、車だとちょっとどうか、というような。



産業道路沿い

工場まわりをうろうろして、時間を食う。もっとも、今日はポタポタポタリングするつもりなので、目的にはかなっている。ただ、寒い。すぐ帰るつもりで、半袖アンダー、長袖アンダー、サイクルジャージのセット。走ってる分にはいいが、日陰でモタモタしてると、冷えてくる。こりゃいかんと、産業道路沿いを急ぐ。と、ちょっと見覚えというか、雰囲気に覚えのある界隈に。なにか雰囲気があったので、ちょっと側道の方に入ってみる。ここらあたりがどのような場所なのかは、今さっき知った。





ちどり公園まで

ようやく、ちどり公園の高さ(緯度?)まで到達、あとは右に進む。このあたりで、少し腹も減り、また温かいものも欲しくなったので、コンビニで弁当を買って温めてもらう。また、ホットの缶コーヒーを買う。このコンビニの店員、店長なのかもしれないが、なにかロマンスグレイの紳士で、執事のようだった。執事のようだと思えるコンビニ店員を見るのは初めてだった。ただ、その先もしばらくコンビニが点在するので、もっと近くで買ってもよかった。




しかしまあ、ちどり公園までの道は楽しい。頭の上をパイプとか通ってて、テンション上がる。いきなり線路があったりするけど、踏切も一時停止もなくて、なんか交差点突っ切ってたりするし、向こう側ではなんかクネクネ長いパイプが通ってて、途中からなんか模様が描かれてたりするし。

ちどり公園


して、ちどり公園である。道路の方が海底トンネル行きになっていて、スピーカーから「人と自転車は公園内の〜」をひっきりなしに繰り返していて、まあ、その右あたりだ。
で、なんというか、想像通りだ。想像以上とも言えようか……。釣り人たちが釣り糸を垂れ、会話はない。一人でスケボーの練習をする少年がいる。おっさんがラジオを聴いている。海、工場の煙、飛行機。まったくすばらしい。この世に忘れられたような気になる。この世に忘れられてもかまわないというような気になる。俺は弁当を食う。そこらにはヒトデの干涸らびた死骸だらけ。



人道トンネルへ

飯食い終わってさあどうする。帰ろうか、という気もしたが、せっかく東扇島への行き道もわかったのだし、ちょっと様子を見てくるか、と。ここから先は在華坊先生と写真が被るけど、リンクする方向で(http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20081113/1226841122)。

だが、ここに入るの?

おっさん、正直ちょっと怖い。

トンネルは「人道トンネル」という。半村良の小説なんかに出てくる、高野山の胎内洞窟みたいだな、とか思う。

30秒に1回(暇だったので時計で確認)、「この通路は歩行者専用だから自転車は降りて云々」のスピーカーが響く。だいたい、俺以外に人の姿は見えないし、はるか後ろから家族連れらしき話し声がするだけなので、漕いでもよかったと思うが、せっかくなので歩く。途中、ママチャリでぶっ放してくおっさんと若者がいたけど、まあ俺もできるだけなにかルールは守りたいところもあるし。
で、なんだ、この800mくらいの直線、自転車押しながら5km/h(サイコンによる)でテクテク歩いてくと、けっこう疲れる。


向こう岸に来てみたら、明るく栄えていたり? とかちょっと思ったが、やっぱり廃墟のような公園に出た。

東扇島

でも、東扇島のスケールは、ちょっと向こう岸とは違う。でかい倉庫が建ち並んだりしている。マンションみたいに見えるのも、よく見れば窓がなくて倉庫だ。なんかすごい。俺はもう、SF気分だった。


こんなところにも釣り人がいて、それを遠巻きにうかがっているネコもいた。少し近づいてみたら、ネコも立ち上がって二、三歩移動した。右後ろ足がだらんとぶら下がり、かろうじて繋がっているような状態だった。左目も潰れていた。古傷のようだった。

けっこう、ダンプの往来とかはあるのだろう。この日は休日なので、少ないように思った。

招かざる客? という気もするが、公園があるなら来てもいいだろう、と考えるようにする。邪魔になるような走りはしていないし。

東扇島東公園

とりあえず、近くにありそうな東公園へ。

ん?

な、なんと。なんとまあ。なんだ、この、ちどり公園との差は。なんだ、この明るさは! 埋立地とかの、臨海公園ってのは、もっと殺伐として、虚無感がただよってるもんだろう! と、まったくしょうもない八つ当たりをしてしまうような、そんな公園。家族連れ、ファミリー。小さい子供連れ。思い思いに、ボール遊び、子供用自転車とか。それと、犬、犬、犬。ドッグランなんかもあるが、ともかくいろんな犬。その、ちどり公園でおっさんが連れてたのとは違うような犬。俺より高そうな犬。
あ、ちなみに、幸せそうな家族の写真とか撮ってない。

頼みの釣り人は、いない。一人もいない。

枠の外で、たぶんそこに立ち入れる人がやってるくらい(そういえば、この島ではラジコンカーやラジコンヘリなどを、企業敷地内で楽しんでる姿を見かけた。それぞれの会社ごとにブームとかあるんだろうか)。ただ、注意看板に「釣りは西公園でお願いします」とあった。そうか、西か、西なのか? 俺は西を目指した。

東扇島西公園


東公園から西公園へは、なにか緑道のようなものが作られている。レトロ西洋風になんたら看板があったが、だいたいいい具合に荒れている。その横を走った。なんともいえぬ直線。ここもたまらない。右手には高速。ちょっと乗せてくれたら、横浜に帰りやすいのに、とか思う。


で、西公園へ到着。けっこう距離あった。さて、どんな具合かというと……やっぱりこっちも綺麗じゃん。でも、釣り人いるか。釣り人いるのはいいな。ちょっとだけいい。なにがいいのかはわからん。いや、まあともかくいいね。なんか工場とか船とか飛行機とか見ながら、釣りとかさ。俺、釣りはしないけど、なんかうらやましい。そう思う。


日もかげってきたの退散。あとはひたすら漕ぐのみ。産業道路は急ぐには道も悪いので、帰りは川崎競輪場の横を通って(12R締切12分前だった)、第一京浜で。おつかれさま。

自転車数字


Dst65.42km Av15.1km/h Tm4:19'23
 平均15km/h。おそらく、このくらいの距離のポタリングとかサイクリングでは、一番遅い。もっとも、今日はとくにふらりが目的だったので、上出来だろう。だいたい、経路とかは、あまりにうろうろしすぎてよくわからない。それでいい。ただ、それとすると、スケスケのプラスチック製サドルに、トゥークリップとかつけて、どうも不釣り合いだ。サドルはともかく、クリップはやめようか、こういうときは。まあ、そんなところで、おしまい。

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