雪の夜に(週給10プフェニッヒのためだけでなく)

 空から雪が降ってきて、人間の歴史は終わった。ところで、おれの焼酎を黙って飲んだやつはだれだ?

 雪が空から降るというのも、いわば都会の人間の思い込みにすぎない。雪国に暮らしてみるがいい。雪は前から、横から、後ろから降る。うまくかわしたと思えば回りこむ。隙を見せてもいけないが、用心しすぎてもいけない。

 あなたは街から来たのだから、なにも知らなくてしかたない。しかし、そのままでは死んでしまうだろう。

 雪にはフラッシュ。たとえ内蔵フラッシュしかなくとも、知らないよりはよい。焚かないよりはよい。なんでこんなに暗いんだ。

 デジタルカメラはどこまで濡れても大丈夫か? 一度もカメラを壊したことのない人間にはわからない。二台目のカメラを買う金はない。

 しょせんは、明るい単焦点レンズを買うことのできない人生。ゴミのような人生。焼酎は勝手に減る。金も、女も、酒も、おまえのものか。憤慨するぞ。

 おまえの肩からすばらしいブラックラピッドをかけてやろうか?

 話は変わるが、ひさびさにすき家に行ったのだ。いかにもお調子者という感じの中国人の中年女がいてね、ほかの席のブザーに反応して、こっちの席の注文を聞きに来たりしたんだ。カウンターの中に帰ってみれば、なにかものを落として、「アイヤー」と言ったね。あまりにステロタイプな「アイヤー」だったから、ひょっとしたら日本人向けのサービスかと思ったな。ここは北京、日本からは3万5000キロも離れている。

 このところの昼飯といえば、100円ローソンで200円買う。これに尽きる。話も尽きる。

 いいおじいさんは福祉犯罪を起こしてぽかぽか刑務所に入る

 なぜならば、いいおじいさんは人生をかけているからだ

 君もいいおじいさんになるべきだ。やめるかな? やめないヨ?

 社員の福利厚生などと言いますが、そんなものは国や自治体の役割、言い方は悪いが、落ちこぼれに対する施しです。会社というのは一種の運命共同体、家族であって、敵に打ち勝つというのが最大の使命だ。だから、私は手も出しますし、足も出す。それが経営者の役割だと思ってる。ある時、けっこうな無能ものが、私のやり方をわけのわからん言葉で罵倒してね、聞いちゃおれんと思ったが、なんだか最後には自殺すると喚いた。じゃあ、とっととその窓から飛び降りろと、18階のね、そう言ったわけだ。そのアホ、ぐずぐずしてなかなか動かないから、首根っこつかんで窓際まで連れて行ったんだが、脳みそばかりか度胸もないらしく、一向に飛び降りない。そこで私は、背中に一発蹴りを食らわせて、それでようやく勇気ある一歩を踏み出せたわけなんだが、その瞬間ね、私はね、一本のさおだけを差し伸べたわけだ。まあ、間に合ったところでどうなるものでもなかったが。

http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20101205/p1

(1)ナチスが音頭をとっている国家労働奉仕【アルバイツディーンスト】は、自発的な労働奉仕みたいなかたちをとっていて、週給10プフェニッヒが支給されている。でもこれは失業者の強制収容所みたいなもので、ヒトラーが政権をとれば強制的なものになるにちがいない。現在のところ「もっとも破れかぶれの人びと」がこれにくわわっている。それとはべつに「すばらしいドイツの若い労働者」たちはこの軍事体制におしこめられながら、スポーツやキャンプにでかけ、歌い、読書し、子供たちにスポーツを教えている。


 いとしのヴェイユはこう言った。

睡眠が、労働にとって一ばん必要なものであることを忘れないこと。

 おやすみ。

 そして、地蔵のフラッシュ!