満月のある夜景(月世界にだって行きたいけれど)

 おれはおおよそ精確さというのを苦手とするたちなので、月がだいたい円く見えたら、「満月だ」ということにしている。

 満月だ。

 遊んできた帰り道のこと、メッセンジャーバッグに買い物袋二つぶら下げて、自由になるのは片手だけ。

 それにしても、三脚もレリーズもない。押しつけるしかない。

 金網に、コンクリートに、鉄条網に。

 写っていたらめっけもの。

 月がきれいなのだから、みんな外に出るべきなのに。

 出てきたら、俺はおまえらがうっとうしいから部屋に帰れと言うのだし。

 月世界にだって行きたいけれど。

 そしたら、クレーターにカメラ押し付けて、地球を撮る。
 (この写真の赤い点と青い点は飛行機の右翼左翼だろうか。こんなもの肉眼で見えなかった)