警察がえばりくさる社会と、ヤクザが幅を利かす社会、どっちがマシなのかね?

 暴力団関係者との「親密な交際」があったことを理由に芸能界引退を表明した元タレントの島田紳助さん(55)と、同暴力団関係者が一緒に写真を撮っていたことが24日、明らかになった。この関係者は指定暴力団山口組の最高幹部の1人。05年に大阪府警が同幹部の関係先を家宅捜索した際に写真を発見していた。紳助さんは23日夜の記者会見で、写真の有無について「あるわけないですから」と完全否定していたがこれを一夜にして覆された形だ。

http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20110825spn00m200001000c.html

 この「明らかになった」に、なにか落ち着かないものを感じるのだけれども。「“証拠”の存在が明るみになり」と、証拠とまで言うこれ、言うまでもなく警察のリークでしょう。ただ、情報提供者の秘匿かなにかしらないが、言うまでもないことを新聞ははっきり言わない。
 思い出すのは、大相撲八百長疑惑の際の相撲協会への情報提供。別件捜査の中から八百長メールが見つかった。それを流した。守秘義務とかいうのはないの? と思ったら、国家行政組織法による行政組織間の協力だとかいう名目。公益性だというお話し。むろん、それへの批判もある。

 まあ、相撲は置いといて、今回はどうでしょう。5年か6年か前のメールを吉本興業に提供したのはたぶん警察だろうし、紳助の会見内容をすぐに覆す「証拠」をマスコミに提供したのも警察でしょう。吉本興業は国の行政組織の「お笑い省」だったり、文科省管轄の公益法人でもないはずなのだけれど。なんか、そんな警察の思いのままになってしまっていいのだろうかと思うのだけれども。よくわからない。
 無論、暴力団は排除するにこしたことはない。というか、私はといえばだいたい内心ヤクザに対して「四の五の言わずに全員射殺するか、模範都市ボルシェヴォ送りにしてしまえ」と中二的正義感で思っているわけだし、だいたい暴走族に対しても同様なのだけれども。ただ、こんなこと書いては人格と知性を疑われるから書かないだけ。もっとも、疑われる程度の人格と知性を持っているわけでもないと今気づいたので、\アッカリ〜ン/しないで晒しておくのだけれども。
 と、同時に、その内心のほかにべつの内心があるのも否めないわけなのだけれど。そんな警察国家? のようなものはごめんだという気持ち。これもまたティピカルの中二的相対主義かもしれないのだけれども、清すぎる水には住みにくいというようななにか。共産主義国が喧伝する資本主義の汚濁をむしろ愛しますよ、という心理である。
 というわけで、たまにこのエントリのタイトルのようなことを考えたりもする。
 けれども、たぶん答えはどちらでもないし、この質問自体が間違っているのだ。二択の話ではないよ、どっちも否定して、ぶっ潰した先に、人類究極の目標があるんだよ、という話でしょう。

 われわれは、いかなる種類の強制をも有しない、平等人の社会を承認する。しかも、こうしたいっさいの強制の欠如にもかかわらず、平等人の社会において、成員の反社会的行為が社会に重大な脅威になろうとは思わない。自由人たちからなる社会は、現代のわれわれの社会よりも、よりよくこれらの反社会的行為から身を守ることができるであろう。今日の社会は、社会道徳の擁護を警察、スパイ、監獄―つまり、それは、犯罪の大学なのだ―看守、死刑執行人、および裁判官たちにゆだねているのだ。他方、自由人の社会は、なかんずく、反社会的行為を予防することができるであろう。
『近代科学とアナーキズムクロポトキン

 けれども、今日のわれわれは「自由人」ではないし、すべての人工組織から開放せられて、自らの組織の中に起居し、客観的制約からぬけ出て、主観的自然法爾の世界に入ってるわけでもない。無理な話。明日も無理でしょうし、明後日も無理。今年度中というのも厳しいし、工程表を出すことすらできなさそう。もし全ての制約を解きはなってガラガラポンのフリーダム世界にしたところで、人々はそれぞれの安心を求めていろいろの契約をはじめるだろうし、いろいろの分業や代理が生まれ、気づいてみたら元通りの社会になるにちがいない。
 つまらない話。そしてやはり、つまらない世界では必要悪としての警察官がいて、それでも彼らが反社会的と見なす存在を安易に徹底殲滅できるような権力までを持たせるのはまずい、というような、どこかしらの落としどころでバランスとってやっていくしかないのだろう。まあもちろん、警察官と反社会的ななにかが結託することはフィクションでもないし、組織というものは絶対に腐るから、必要悪が必要でない悪になっていることもあるだろう。また、単純に一掃すべき悪もあるだろう。まあいずれ、コツコツとなにかしら
処方箋も結論もないところで人類の進歩の終わりは訪れず、昼休みは終わるのだけれども。おしまい。

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