なにが夏にさせるのか

 おれは確かな出典を知らないが、小学校のテストで「雪が溶けるとなにになりますか?」という問題に、「マンシュタインが列車砲を組み立ててセヴァストーポリ要塞を目指します」と答えて不正解となることについての是非論みたいなエピソードが昔からある。あるいは「春になります」だったかもしれない。どちらでもよろしい。ちょっと恋してみませんか? 余計なお世話だ。
 一方、ソヴェートでは鉛筆を使った。というわけで今の季節、「なんで夏になりましたか?」という漠然な問いというものもあろう。ここで小学生諸氏に答えを教えておくが、「おれがオードトワレをブルガリ・ブラックからジバンシーのウルトラマリンに変えたから」だ。これ以外に答えがない。ああ、かき氷のブルーハワイみたいな色のウルトラマリン! これほどアホっぽく「ほらマジ、夏じゃん、夏! これ夏ね! 夏の香り! 定番! 格安!」みたいな香りはないと思う。いや、日焼け止めクリームとかなんかのココナッツ・ミルク風の香りとか、男子校のシーブリーズ率とかいろいろあるかもしれないが、そんな話だ。
 今朝は所用あって早く出たが、所用を終えたのでこんなことを書いている。ところで、通勤・通学タイムの路線バスというのは、そうでないときに比べてひどく苦しそうに走る。人間は重いのだと思う。とくに、学校や会社に向かう人間というのは。
 一方、おれは、軽い事故に遭って以来、自転車で走るのも、道を歩くのも怖くてかなわない。病的な気質の人間というものは。

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