なんともいえねえが―映画『海燕ホテル・ブルー』を観る

 若松孝二監督の最後から数えて二番目の作品『海燕ホテル・ブルー』。映画館で見逃したので、今になってDVDで観た。
 カレー犬食い、両手がもぐり込む海岸土下座、唐突&棒読み感強烈なラストと、なにか変なところは記憶に残るが、全体的に「わかるの?」みたいなことを言われたら「わかんね」というような。それで、
 そんでも、井浦新は渋かったし、ファム・ファタールだか観音様だかわからない女の後ろ姿は美しいといえる。正面向いたら、桜玉吉が四コマで描いたタバコトストス女(←誰にも伝わらなそう)かみたいなところだが。
 というわけで、ここのところの若松映画はだいたい観た感じなんだけど、さあどうだろう。彼女や犬が死ぬ映画よりゃおもしれえことは確かだが、なにがどう? みたいなところで、よくわかんねえやってのはあるんだけど、なんかあるんだろう、としか言えないや。いや、とくに『海燕ホテル・ブルー』は。わざと昔の作風みたいなところかな。したら、伊豆大島だっけ? あのロケ地とかやっぱいいところ選ぶ。それと、ジム・オルークの音楽よかったね。あとは、あの最初の方の直江津行きの列車の駅、行ってみたいね。どこかしら。