木の街・新木場のライブ行ってきたで


 おれは金を払って音楽を聴きに行った経験が5度ある。そのうちの1回はすばらしいストライクウィッチーズのイベントであり、残りの4つはくるりのライブである。今日はその4つ目だった。
 音楽は「ロックンロール・ハネムーン」から始まった。2曲目には「ワールズエンド・スーパーノヴァ」ときた。詳しいセットリストが知りたければほかを当たってほしい。ただ、たぶん『坩堝の電圧』からは1曲もなく、逆にWikipediaに「要出典」付きで書かれている「代表曲」は「ワンダーフォーゲル」と「JUBILEE」以外はすべてやってくれた。古い曲もあったようだが、古いファンでもないので知らないものもあった。新曲お披露目もあって、それを知らないのは当然だった。

 4回目のくるり。来るたびにメンバーが違う。今日のパフォーマンスがおれにとって過去の3回と比べてベストだったか? 問われると「違う」と答えざるをえない。ただ、おれは音楽というものを腑分けすることもできないし、その理由を言葉にすることはできない。記憶は美化される。その日の体調もある。おれの脳内を飛び交う物質もクスリによって違う。しかしまあ、ベストなライブだったわけじゃなくても、グッドなライブだった。なにもすべてがベストである必要もない。
 だいたい、今回演奏していたのがくるりかどうかも怪しい。暑い国から来たターバン人だ。なぜターバン人かというと頭にターバンを巻いていたからだ。ターバンを巻いてわけのわからないことを言っていたので、怪しいところだ。サポートはあらきゆうこ、山本幹宗、高田漣
 番号は悪かったが、わりと前列に位置することができた。目の前にファンファン。右に視線をふると、長身の観客にすっぽりターバン人のベース(即興でラップもできる)が隠れ、岸田繁が怪しい動きをしている。その奥は奥なのでよく見えない。おれは岸田の怪しい動きが好きだ。
 だが、それ以上にトランペットにキーボードにコーラスに、さらにはなにか叩いたりと活躍するファンファンがすばらしい。かっこいい。かわいい。ときおり覗かせるピカピカの靴もよかった。ますますファンファンファンになって帰ってきたといっていい。
 ファンといえば、おれはくるりのファンなのか? ファンなのだろう。ただ、ライブに行こうとチケットを買うのは年上の女だ。おれがなにかを貸したのをきっかけに、おれよりファンになったのだ。彼女は「BREMEN」がたいそう好きなので、今回の曲目に入っていたことを喜んでいた。おれが一番好きなのは「ハイウェイ」かもしれない。今日は新月らしい。おれから行こう、と言い出すことはまずなかったはずだ。熱心なファンほどというわけではないにせよ、短い間に4回。縁というものはわからない。ちなみに、最初に行ったときは山内総一郎がギターに入っていた。
 もう一度書くが、おれには音楽のことが書けない。だれが言っていたか、音楽とは無と無の間だという。間のことはその時のことだ。たとえライブの最中にツイートなりなんなりをしたところで、おれには言葉にできない。写真を撮りたいとも思うが、撮ったところで音楽は再生されない。
 音楽は再生されない。たとえライブを収録した音源なり映像なりであっても。それはウソ、間違ってる。でも、生の音楽というのはそういうものなんだろう。おれは消し飛んだ記憶に惜別の念を抱きつつ、それでもわけのわからないことを書いている。もう、この時点で記憶はすっ飛んでいるのに、いつか少しは思い出せるように。それは本当。

 特典の限定CDは2曲入り。1曲目はタイトルを知らない暗い感じの曲。2曲目はインストゥルメンタル……と思ったら「ワールズエンド・スーパーノヴァ」だった、のか?

>゜))彡>゜))彡>゜))彡

……吉田省念脱退のニュースは残念だった。正直、もうちょっとあの構成でどんな感じになるのか聴きたかった。