売れない豚はただの豚だ

いや、ただの豚じゃあない、25,000円の豚だ。

中華街が近いせいか、わりとマニアックな臓物などを売っているスーパーではあるが、まるごと一匹というのは初めてみた。

ちなみに、中華街人らしき人たちが買っていくのはマニアックな臓物というより、大量の卵だったり牛乳だったりキャベツだったりする。おれが見たことのある範囲では。

おれはといえば、このスーパー、すなわち食品館あおば元町店由来の食物によって身体の半分以上が成り立ってるといっていい。ここの肉、野菜の値段に慣れてしまうと、他のスーパーでものが買えなくなる。

ひょっとしたらスペイン産子豚25,000円も超特価なのかもしれないが、おれには買えない。金銭的に買えたとしても、どうすればいいのかわからぬ。それに、中華街の店の人だって、たとえばメニューに「子豚の丸焼き」があったとしても、しかるべき仕入先から仕入れるのだろうし、わざわざスーパーで買わないだろう。誰が買うのか?

と、思ったら売れたようであった。今日はクリスマス・イブ。本牧あたりのパーリーピーポーが買っていったのかもしれない。今宵はバーベキューだぜ?

とはいえ、クリスマス用の肉に一時場所をゆずっただけかもしれない。予断は禁物である。おれもいつかは子豚一頭まるごと買うくらいの度量のある人間になりたい。嘘だが。