初詣に行ったさいに、誕生日ごとのおみくじみたいなやつを買った。
ようするにこういうやつである。
中を開いて、「貴方の性格」に書いてあることを読んだところ、同行の女にひどく笑われた。「こんなに反対なことってあるかしら？」。
今日、会社に持って行って人に見せたところ、「君、まるで反対じゃないか」と言われた。
おれは占いいにこのようなことを言われたまでである。
貴方の性格は物事にこだわらず、寛大で融通性があり非常に思いやりがあります。
おれは物事に執着し、偏狭で冷たい性格のようだ。
そして任された事はどこまでも熱心にやり遂げ、報酬のためでなく、仕事のために仕事を愛して行く、精力的な活動家です。
そして、任された事はとっとと放り投げ、報酬にだけうるさい怠惰なやつ、ということだ。
ええい、なんだ、仕事のために仕事を愛すって、ワタミの社員か？ 報酬のためでない活動家とはなんだ？ 社会革命党戦闘団か？ アゼフに欺かれるサヴィンコフか？
そんなおれの運勢（別紙）はどうかというと、次のとおりである。
貴方の運勢は一代で地位・財産を築き上げ得る、旭日昇天の象である。勢力旺盛、つねに人の意表をつく事業で成功する。
これもさかしまの世界からの伝言かと思えば、おれの一代はすべての財産を失い落日の象（どんなゾウさんだ）であり、無気力の中で人がそうであろうと思うように失敗していく、ということになる。まことに……正しい。
バーナム効果もプラシーボ効果もまったく感じられないこの結果、いったいこの世はどうなっているのだ。嘆いても始まらない、かといって終わるわけでもない。おれはすべてを失い続けるだろう。無気力の中で失い続けるだけなのだろう。
君、占いというやつは信じた方がいいんだぜ。
