1997年のiPadはインターネットの夢を見たか?

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今日は土曜出勤。年末の大掃除。古い書籍の中から1997年の「サライ」が出てきた。そういう雑誌があったのだ(注:今もあります)。おおよそ……20年前? ちょっと気になったので、「捨てる」の場所から拾ってきた。

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すると、こんな広告記事があった。

指タッチで、インターネット

画面に触れるだけで世界と接続

iPhone、それともiPad? いや違う。富士通のホームプロセッサOASYS「マリオット」である。

何かと話題のインターネット。ちょっとは試してみたい気もするが、何か難しそうだ。そこでこの「マリオット」の登場。複雑な操作もなく、画面に指タッチするだけでインターネットに接続できるのだ。

 標準価格24万円。親指シフトキーボードモデルもある。なにより、「マリオット」には通信用のモデムとブラウザが搭載されているのだ。すごい。買ったその日からインターネットだ。「インターネットに接続すれば、音楽や食べ物、スポーツといった暮らしの情報や、世界各地の旅の情報を見ることも可能だ」。すごい。

おれは「マリオット」のことを知らなかった。最初にネットというものに触れたのは、父が加入していたNIFTY-Serveだった。同じく、父親NIFTY-Serveに加入している友人にいたずらメールを送ったりしたものだった。……そのあと……、Macネスケを使い、iCabを使い……、こういったネット専用機のようなものを使ったということはなかった。

あるいは、こんな「商品情報」(広告? 記事?)もあった。

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三洋電機「インターネッター」。19万8000円。「パソコンなしでもインターネットの世界が楽しめるテレビ」。これである。おれは今、この瞬間、テレビの画面を利用してインターネットを見ているが、三洋は20年前に通過した道だった。

 インターネットをご存知だろうか。世界中のパソコンをつなげる、新しい情報網のことである。

こういう書き出しで紹介が始まっている。サイバーパンクだ。

 本機では無数にある情報を、お店情報、旅行・観光、ニュース、学習、娯楽、地域・企業など6項目にジャンル分け。それをリモコンで選ぶだけで、日本中、世界中から知りたい情報を気軽に見ることができる。パソコン・アレルギーの諸氏には、まさにうってつけの商品である。

こんな〆で終わっている。サイバーパンクだ。この「インターネッター」は左右に二画面分割して、テレビを見ながらインターネットもできるのだ。すごい。

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ちなみに、リモコンはゲーム機型だ。でも、左がボタンで右が操作なので使い勝手がいいのか悪いのか。

……と、かように20年前のインターネット接続機械の一端を知ることができた。当時の家電メーカーは、インターネットを家電に寄せようとしてがんばっていたのかもしれない。パソコンというものは敷居が高い。だから、テレビにしてしまおう、というような。よくわからない。やがてパソコンの敷居というものが低くなったようにも思う。そしてまた、iPhoneiPadなどの端末の普及によって、パソコンの敷居が少し高くなったのかもしれない。やはり、よくわからない。しかしそれでも、ここに淘汰の一端は見えたし、早すぎたものというものも見ることができた。今、この文章を「マリオット」や「インターネッター」で読んでいる人間は皆無だろう。ただ、自分のインターネット始まりは「マリオット」や「インターネッター」だった、という人はいるかもしれない。

それにしても、ネットが、ここまで世界を覆い尽くすと、1997年1月の『サライ』は予想しただろうか?