- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2014/07/11
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この案件に対して、たしか組織的特攻の発案者とされ、本作品の主人公とも言える大西瀧治郎は反対していた、のだっけ。なにせ長い映画なので忘れてしまった。とはいえ、大西は特攻にこそ道はある、日本民族の意地だという方向に進む。捷一号作戦のみの命令から、組織的で恒常的な作戦となってしまう。それに大西は苦しむが、戦争というものは暴れる牛のように進みだしたら止まらない(って今しがた見た『真田丸』の台詞か)。このあたり、どうだったのだろうか、そうだったのだろうか、よくわからない。
よくわからないといえば、この作品の題字を書いたのは、児玉誉士夫である。児玉機関の児玉さんとして作中にも出てくる。そして、一方でこの作品の脚本は笠原和夫である。右翼の大物、フィクサーが深く関わる一方で、天皇の戦争責任を問うような感じのある笠原(たしかそうだったよな?)、このあたりは妙にねじれていて面白い。特攻絶対反対の三〇ニ空の小園安名を菅原文太が演じていて、金子信雄演じる上官に食ってかかるシーンも面白い。面白いといっていい題材の映画とはいえないが、スケールの大きさ、長さ、出てくる俳優陣の多さに圧倒されるというところはある。「軍神」関行男のエピソードから、厚木基地事件、そして大西の切腹まであるていど細かく描かれている。全部盛り込んでやれ、という感じすらする。あ、けど宇垣纏の「私兵特攻」は描かれなかったか。まあ、太平洋戦争全部、というのは無理がある。航空隊の全部というのも無理がある。
とはいえ、アメリカ軍は損耗率で物事を考えるから、二千万人特攻で引き分けに持ち込めるとか、最後の九十九戦負けても最後の一戦に勝てばいいとか、狂ってるものが狂っていない世界。イタリアとドイツが先に負けて、全世界を敵に回すことになった異常事態(いまの北朝鮮みたいなものか)、そいつは伝わってくる。その中で、理不尽に死を命じられる男たち。描かれはしないが、空襲で死んでいく銃後の人々。時折入ってくる菊の御紋に宣戦布告に玉音放送。見応えは、ある。とくに後半の菅原文太にしびれる。そんなところ。以上。
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