- 作者: リチャード・ブローティガン,藤本和子
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 1976
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『鍵』と『瘋癲老人日記』を著した谷崎潤一郎にこの小説をささげる。
日本小説いうても、リチャード・ブローティガンの小説や。なんやしらんが、著者がいろんなスタイルの小説に挑んだうちの一冊いうことらしい。それが「日本小説」や。正直、わしは谷崎潤一郎もろくに読んどらんから、「日本小説らしいわー」とも「こんなの日本小説ちゃうわ」とも言えへん。ただ、日本人の恋人に去られたアメリカ人ユーモア作家と、そのユーモア作家が破り捨ててゴミ箱に入ったユーモア小説(ソンブレロ落下す)と、日本人の元恋人の三層で進行するの見とって、なんややっぱり村上の春樹はんか、高橋のゲンちゃんか思い浮かびはしたで。
でも、少し悲しいんは、破り捨てられゴミ箱の中にあるとはいえ、「ソンブレロ」のパートがあんまり面白うないんや。ヴォネガット風のスラップスティックかなんかわからへんけど、笑えへん。そりゃあ、別れた女の髪の毛一本血眼で探すくらい凹んどる「ユーモア作家」が破り捨てたもんやっちゅう設定なんやからといえばその通りかもしらん。そんでも、やっぱりそれ読まされるわけやから、なんや少し、おそらくは著者の意図しないところでの悲しさを感じたで。アカンやつとしての悲しさや。
とはいえ、日本人女性のパート、猫と眠りのあたりはわりと好きやった。日本小説しとるのかどうか知らんが、猫のゴロゴロいうのが夢の起動になるいうんは悪くない。猫と和解せなあかん。
と、感想はそんなところや。ブローティガンも詩集を除いては読めるもんも残り少のうなってきたからには、これまたべつの悲しみも出てくるっちゅうところはある。まあ、こんなところや。
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