ハードでライトな『ふわふわの泉』を読む

ふわふわの泉 (ハヤカワ文庫JA)

ふわふわの泉 (ハヤカワ文庫JA)

ふわふわの泉

ふわふわの泉

 ハードでライトで、それでいてふわふわやったし、その割にスピーディ。夢の新素材発明から、宇宙へ。人間同士のごちゃごちゃなんてちゃぶ台返しでふっ飛ばしちまえ。ストーリーはサクサク進む。そういうところは実にハードSFだ。そういう印象だ。だけど、ライトで、明るいノリがある。夢のある、未来のあるSFだ。SFの精神年齢は12歳? だったかしらないが、12歳に読ませてもいい。むしろ読むべきなのかもしれない。夢も希望もない30代半ばのおっさんが読んでもよかった。いろいろのSFがあるがこういうSFがあるのもSFのいいところだと思う。惜しむらくは、おっさん理系脳ないから、もうちょっと図解(挿絵?)ありゃあいいのになーとか思った。それとももう夢みる力を失ってるから、文章から見えるべき構造体が見えなくなってるだけかもしれない。そうだとすれば悲しい。悲しいが、この小説は悲しくない。サクサク進む。サクサクでふわふわだけど、バックにはサイエンスの、そして小説技法としての背骨があるんだろうと思う。ここがそうだとか技術的なことはなんも言えんが、そうでなくてはサクサク、ふわふわとはいかんのだろうと思う。そう思う。