電車の中。女が席に座り、おれはその前に立っていた。急に女がおれの腹をつついた。つついて笑った。「ないと思ったらあった」と。すなわち、服の膨らみかと思ってつついてみたら、腹があったということだ。屈辱だ、なんて日だ!
ということで、おれは痩せることにした。
痩せるのはおれにとって必要なことだ。もしも二重あごになったりしたら、睡眠時無呼吸症候群が悪化するに違いない。そして、糖尿病になったりしたら、抗精神病薬のジプレキサ(オランザピン)が飲めなくなって、双極性障害が厄介なことになるからだ。
おれは痩せ方を知っている。
もう一度、あの強迫性障害(と、いったん診断された)状態に戻ればいいのだ。あのときおれは何を食べていたか。どれだけ走っていたか。おれは忘れたわけじゃない。
だが、戻れるだろうか。厄介なことに、ジプレキサは食欲を増進させる。打ち克つためにはあの腹の減らない薬、プロザックに頼ろうか。とはいえ、ジプレキサがおれをどれだけ(かりそめの)安定状態にさせてくれているかわからない。
こうなると、意志の問題となる。厄介だ。厄介とはいえ、おれは死ぬときスマートな体型で死にたい。金正男の死体画像みたいな感じというのは避けたい。おれは痩せる。こう書いた以上、痩せなきゃ恥ずかしい。そしてまた、ロードバイクで1日200km走ることを目指そう。老いていく肉体、年齢を経ることで生まれる諦め、それらを超克しよう。炭水化物、Good Night、走るの忌避するの、Good Night。Mで待ってるやつ、Good Night...。