タイトルは釣り。おれの競馬に対するスタンスは「競馬というスポーツに対する木戸銭として馬券の回収率は75%でよい」というものだった。寺銭=木戸銭。適度の興奮と夢、儚く散っても馬たちは美しい。それでよい。
が、これは敗北主義というものではいないのか? ただでさえ生活に余裕が無いのに、木戸銭を払うのは不合理ではないのか。べつに、もっと回収したっていいじゃないか。それによって興行主の懐に入る額は変わらない。おれがほかの誰かから奪うだけだ。それがパリミュチュエル方式というものじゃないのか。
……と、気づいたら回収率100%越えを維持しているおれは思った。無論、おれは馬券の配当で暮らしていくとか、一財産築くとか、そんな大それた夢は持っていない。黙々と小銭を投じるだけである。とはいえ、75%より100%還ってくる方がいいに決まっている。それだけのことである。ささやかな、あまりにもささやかな希望だ。
では、どうしておれは心配せずに100%の回収率を維持できるのではないかと思った理由を、おれのための備忘録として残しておく。宝塚記念を週末に控えたキリの悪い時期に。
一、馬券の基本は単勝と馬連
おれの馬券の買い方といえば単勝と馬連、これである。一時期は3連複5頭ボックス、などというものも好んだが、やはり単勝と馬連がよい。馬連は本命馬から6~7頭に流す。万馬券ないしそれに近いものを2頭くらいはチョイスしたい。基本的に縦目は抑えない。本命にしたい馬の単勝が1倍台前半くらいで、あまり馬連が美味しくない場合は馬単で流す。そのとき単勝は買わない。
トリガミは恐れない。できたら万馬券に近いもの、そうでなくても30倍くらいつけば御の字という姿勢で望む。G1やよほどの少頭数のときを除いて3連単は買わない。3連複も避ける。あまりに人気がない馬が気になった場合はワイドも考えるが、馬連も買う。逆にワイドはおまけと考える。そういう場合、まず来ないのでどちらでもよい。
二、血統を適当に把握する
「ラグビーボール産駒は左回り」(古い)くらいの大雑把な把握をもとに馬券を買う。血統なんて馬券に関係ないよ、という人はサンデーサイレンス産駒とピルサドスキー産駒に同額賭け続けるのだろうか(古い)。だから、ダートでのディープインパクトは軽視するとか、ここのところハービンジャーがよく走るとか、ダートの1400mならパイロとフレンチデピュティとサウスヴィグラスはどんなに人気薄でも抑えるとか、そんな感じで望む。やはり血統が物言うスポーツなのだ。しかし、いくら牝系の特性を追求しようが、クロスの数を数えようが、それによって劇的に回収率が上がるとも思えない。大雑把に、されど無視せず。
三、騎手のことはあまり考えない
これは微妙なところだが、あまりに騎手に対して先入観というか、好き嫌いを持たないほうがいいのではないか、という気はする。むしろ、穴馬券は成績の劣る騎手についてまわる。とはいえ、やはりルメールやデムーロが乗るなら、それは抑えておきたい。ただ、前走ルメールやデムーロに乗り替わって人気になって負けた馬は、次もあまり期待できない、というようなこともあるらしい。「ルメールだから(戸崎でも内田でもいいが)買いたい」というときも、そのあたりはチェックしたい。
四、有料競馬情報サイトの情報は馬鹿にできない
これは今年になって気づいたことだ。いや、どこかの有料サイトにアフィリエイトを貼るような真似はしないので安心してほしい。というか、おれは有料競馬情報サイトにびた一文払っていない。おれが参考にするのは、そういったサイトがちびちびと流す無料情報だ。撒き餌のようなものだ。これが案外馬鹿にならない。マル秘厩舎情報とかいう怪しいものであっても、わりかし馬券になったりする。まるで見当のつかず、べつに見でいいか、というレースも、そのあたりから買って楽しめる、ということがある。情報信ずべし、また信ずべからず。
五、最終レースまで諦めない
「今日はぜんぜん当たらん」という日もある。あるが、そういう日に限って最終レースで盛り返すこともある。諦めないことだ。
馬単1万7千円、東スポの山村マジサンクス。 pic.twitter.com/zx8pirzI0A
— 黄金頭 (@goldhead) 2017年6月18日
ただ、「最終ですべて取り返す」とか、そういう気張りは無用だ。たとえば、断然の一番人気に「なんかポツン◎のやつがいるな、流してみるか」みたいなことで挽回できたりする。平常心。速度ではなくケイデンスを一定に。これは確かめたわけじゃないが、おれの今年の最終レースの的中率は、その他のレースのそれをだいぶ上回っていると思う。
……こんなところだろうか。まったくもって、いつも馬券で勝っている人間には馬鹿にされる内容だろうとは思う。あるいは、ギャンブラーと呼ばれるにふさわしいくらい金を突っ込む人には物足りないことだろうと思う。だが、おれはそのどちらでもない。気になったレースがあったら買う。大きなレースは買う。好きな馬も買う。その上で、回収率100%こえたらうれしいじゃないか。ロハでおもしろい体験ができる。悪いことじゃない。そんなところだ。……とか言いつつ宝塚記念のキタサンブラックあたりに全財産ぶっこむ可能性が0%とも言わないが。