お釈迦様の息子「ラーフラ」は格好いい名前?

 

迷いと確信―大乗仏教からテーラワーダ仏教へ

迷いと確信―大乗仏教からテーラワーダ仏教へ

 

 この本読んで、感想を書いたのだけれど。

上座部仏教はやはり当たりがキツいな アルボムッレ・スマナサーラ×山折哲雄『迷いと確信』を読む - 関内関外日記

書き忘れたことひとつ(アルファベットの上の戦とかは省略しています)。

編集 山折先生の著書『ブッダは、なぜ子を捨てたのか』(集英社新書)を拝読しましたが、確かに山折先生のおっしゃるように「ラーフラ」という名前の意味についてみなさん引っかかるところがあると思います。

スマナサーラ ラーフラというのは、我々インド文化人にとっては、すごくかわいくて格好いい名前です。ごく普通に、みんなにつける名前なんです。けっして「悪魔」という意味ではありません。だから、お坊さんの中でも、ラーフラという名前の人はいっぱいいますよ。

編集 それはお釈迦様の息子だからというわけではないんですね。

スマナサーラ そうではないです。インド人の間では、rahu(ラーフ)、rahula(ラーフラ)というのはごく普通の名前なんですよ。

編集 それは、ヒンドゥー教徒でもですか。

スマナサーラ インド人の名前を見たら、「ラーフ……」と付く名前がいろいろありますよ。

編集 それは仏教が中国文化に翻訳されたときの問題ということですか。

スマナサーラ インドの星座の一つにrahu(ラーフ)という名前を付けていますから。あとで伝説を書く場合、そういうふうに解説したのでしょう。ただ、ラーフラという言葉には(悪魔ではなくて)「邪魔、束縛、責任」という意味もあります。だから、ブッダは子供ができたとき、これは大変な責任を背負ったということで、これに関わってしまうといけない、と思って家を出て行ったんです。ブッダは子供に対する責任をものすごく痛感していたんです。

釈迦(沙門ゴータマ)、いわゆるブッダが息子にひどい名前を付けた、というのはよく知られた話かと思う。

 

……あろうことか王子は「私に邪魔者が現れた」と言い、その子に「ラーフラ(羅睺羅。邪魔する者、障礙となる者の意)」と名付けました。

あるいは。

 

知的唯仏論

知的唯仏論

 

宮崎 ……並川孝儀氏の『ゴータマ・ブッダ考』(大蔵出版、二〇〇五)の考説では、ズバリ「悪魔」を指すといいます。ラーフは日蝕や月蝕を起こす悪魔であり、ラーフラで「ラーフを得たもの、ラーフを取ったもの、ラーフが与えたもの」となる。

羅ご羅 - Wikipedia

まあ、結局は出家して十大弟子の一人になってるんだけど。

……と、こんな感じである。このあたりを前提として、あえて「悪魔」の名を授けたのは、という話になる。が、インド文化圏(スマナサーラ師はスリランカ人)の人が、「いや、ちゃうで、普通のかっこええ名前やん」と言っている。これは面白い、と同時に、どういうことだろう、という思いも出てくる。

悪魔ちゃん命名騒動 - Wikipedia

今の若い人は知らないだろうが、ズバリ「悪魔ちゃん騒動」というものがあった。父親が自分の息子に「悪魔」と名付けようと申請したところ、役所が突っぱねて裁判になったという話だ。とはいえ、これはあくまで悪魔というストレートな命名であり、ぜんぜん日本において一般的な名前じゃないからこそ騒動になったわけであり、スマナサーラ師の言うラーフラ観とは異なるだろう。同様に、堀内恒夫の「悪太郎」とも違うだろう。

いや、べつに日本人の名前に引き寄せて考える必要はないのかもしれないけれど、なんか気になってね。うーん。たとえば、あえて悪い意味の命名(捨、とか)をして死神に目をつけられないようにする、みたいな風習とも違うだろうし。

鬼平、とかどうだろうか。これを、「鬼=悪魔の一種」とのみ解釈する文化圏(言語圏)から見たら、「なんてひどい名前だろうか」ということになるかもしれない。しかし、日本人には「鬼」に決して悪い意味ばかりを感じない。強さやたくましさ、一途さなどを感じるかもしれない(土俵の鬼、とか)。そんな微妙なニュアンス。違うかな、どうかな。鬼太郎、となると、「沢城みゆき合ってるじゃん」となるが、それは関係ない。あとはなんだ、そうだな、「龍太郎」とか「龍二」とか、「龍=ドラゴン=魔物」と思う文化からしたら……とかか? 

まあ、よくわかんねえや。ただ、「ラーフラ」にそこまで意味を求めなくてもいいかもしれない可能性というのは心に留めておこう。以上。

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ブッダが説いたこと (岩波文庫)

ブッダが説いたこと (岩波文庫)

 

 いつかワールポラ・ラーフラさんの本も読みたいと思っております、はい。