おれはこのところDAZNで広島東洋カープの試合を毎試合見ている。タイムラグという問題もありながら、Twitterでハッシュタグcarpで実況を見たりしている。
そこで感じるのが、野間峻祥への風当たりの強さである。
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「隙あらば野間」という言葉がある。緒方監督が野間をよく起用したことによる格言(?)である。また、同僚の松山竜平がヒットを打つと、代走に野間が起用されることが多かったため「野間はどこだ?」という言葉もある。
野間の守備と走力に疑問を抱くファンは少ないだろう。が、打力はどうだ、という話なのである。いや、話だったのである。今期スタメン出場が多くなるなか、打率は三割をキープしている。規定打席には到達していないが、他球団からすれば警戒の対象ではないか。得点圏打率だって、「100打点が目標」を公言する松山竜平とそう大して変わらない。
が、野間がチャンスで打席に立つと、「緒方の野間びいき」、ひどい言い方になると「愛人起用」などという言葉が飛び交う(そんな汚い言葉で自チームを罵るスタイルをおれは好まないので速攻でミュートにするが)。なぜなのか?
それは、見てもらえればわかる、といえる。ここぞというときの頼りなさというものがある。なにかやってくれる、という感が少ない。たとえば、対極にあるのが新井さんだ。今日も畝コーチに直撃弾を浴びせて1点取っていた(そんなルール野球にはない)。
というわけで、口汚い罵りはしたくはないが、「ここはエルドレッドだろ」とか「ここは新井さんだろ」とか思うのは、実のところおれも一緒なのだった。
が、今日はやってくれた。
なんと満塁のチャンスでズバッと一振り、逆転ホームランを放ったのだ。
4日にチームが零封を喫したヤクルト先発・ブキャナンとの再戦。3回2死満塁の好機で、低めのカーブをすくった打球は弾丸ライナーで右翼席に飛び込んだ。野間は「何とかして食らいついていこうと思っていました」と冷静に打席を振り返り、「最高で~す!」とチームの主砲・鈴木誠也の“決めゼリフ”を真似て、絶叫した。
これには驚いた。繰り返すが、驚くほど低い打率だったわけではない。まあ、長打力という点ではあまり期待していなかったが。
そして、ヒーローインタビューでの明るさというのも意外だった。声、出るじゃねえか。なんか、おれには野間、パワー不足に見えていた。だから、チャンスでもボールに当てることに精一杯で、力ない内野ゴロやポップフライを量産しているのだと思っていた。が、たぶんパワーあるのだ。鈴木誠也に氷水ぶっかけられても元気なのだ。それをバッティングで見せてほしいのだ。
今日の勝利でカープはまた貯金を二桁にした。ナゴヤドームでの苦闘から連勝。大瀬良もピリッとしないわりに、結果的に2失点に抑えた。まあ、それよりも野間だろう。野間がレギュラーでは松山の代走がいないという問題点はあるが、この一発を契機に、ファンに信頼される男になってほしい。そうなったらどうだ、カープはますます強いぞ。俊足・巧打・堅守のレギュラーが増えるのだぜ。タナキクマルに鈴木誠也がいて新井さんかカントリーがいて、さらに野間がいる。これは強まっている。というか、強い。
正直、カープファンの卑屈さというものがあって、このゴールデンでホットなメンバーがいつまで続くのかという気持ちもある。FA、海外挑戦、選手は抜けていくものだ。だが、今、野間が覚醒してくれたらどうだろう。丸が帰ってきてくれたらどうだろう。鈴木誠也の調子が万全になればどうだろう。おれはそんなカープが見たい。黄金時代を見たいのだ。
というわけで野間くん、明日も頼むで。