知的格闘技 クイズ!質問力Versus

http://www.fujitv.co.jp/b_hp/0407versus/
 昔の深夜番組は輝かしい面白さがあって、夜遅くまで起きていることもいとわなかったのだけれど、ここのところはめっきり見ることが少なくなった。それは、不景気による深夜枠の削減や質の低下もあるし、僕が若くなくなって早く眠るようになってしまったこともある。けれど、昨日たまたま眠れないでいたら、久々に面白い深夜番組を見たという気になった。それがこの「質問力」だ。
 ルールはこんなものだった。まず、クイズが出題される。回答者は、時間内にいくらでも天の声(?)に質問していい。質問への回答は「YES」「NO」「CHANGE」で返ってきて、特に正解に近づくと「GREAT」となって相手の尻に電流が走るというしくみ。答えが分かっと判断したらリーチして答えを言う(こえを間違っても電流)。一人の質問・回答時間中、対戦相手はヘッドホンで相手のやりとりを知ることができず、先に正解した方が勝ちというもの。
 で、対戦の方。まずはじめは波田陽区vs劇団ひとり。一時期完全に姿を消していた波田陽区だけれど、ここのところ再びちらほら見るようになってきた。ギター侍スタイルじゃなくても、それなりにいけるんじゃないのかという印象なのだが、さてどうだろう。対戦の方はどちらも正解に至らずひとりの判定勝ち。
 一つ飛ばして舛添要一vs橋下徹。国会議員と弁護士の対決で、これが見ていて気持ちいいほどに質問のポイントを外さない。何を訊けば何が返ってくるのか、その道筋ができている。しかし、それでいてリーチに至る際に何らかのジャンプが行われていて、そこらあたりの人間の考え方の筋道は興味深い。で、この対戦、チンコの立ちも健在の舛添が勝利。橋下弁護士は一度頭の中で想定した結果にロックされ、それが外れると身動き取れなくなったという印象。道を遡って岐路に戻ることの難しさ。頭のいい人でもそういうところに陥るのだ。
 そして、一つ遡って菊間千乃アナvs島田彩夏アナ。これが一番の見所だった。問題は「コロンビアでたくさんの被害を出した強盜の手法は?」で、答えが「若い女が乳首に睡眠薬を塗布して、それを舐めた男の気を失わせる」というもの。これだけでも女子アナにやらせるかというものなのに、さらには尻に電流なのだ。この電流がくせ者で、最初の対戦者である両芸人が「芸人のリアクション力を低く見積もりすぎだ」「もっと弱くてもリアクションはとれる」と抗議したような代物なのだから。
 ……というと僕が単なるスケベ親父みたいな感じだけれど、そんな単純なものじゃない。そうだ、この対決の解説者は斎藤孝だった。僕は斎藤孝を「本を手に取ってみようとも思わない人」箱に分類していたのだけれど、この日は気が合った。先輩の菊間アナルに電撃を流すときの、島田アナのサディスティックな笑い、これがたまらなく魅力的だったのだ。僕は特定の女子アナが好きだとかいうことはほとんどなくて、誰か一人挙げろと言われれば未だに八木亜希子さんという風で。八木さんのどこが好きかって言われると、いや、別に。まあ、それはともかく、これで島田アナのファンになった。知的で冷たげな外見もいい。今まで顔と名前も一致しないというか、ほとんど知らなかったけれど、そういうことだ。それで、勝負の方は、これもさすがにいろいろな事件などに接している女子アナというところで、質問の方も両者ともに鋭かった。が、菊間アナはどこかぽんよりしているのか落下ショックの影響かアルコールのせいかわからないけれど、最後の詰めの部分でアメーバ的な発想になってしまい、それが敗着。島田アナの‘光速の寄せ’(……と斎藤孝が表現した。これは谷川浩司九段の終盤の差し脚の鋭さを表現した言葉で、この棋士の異名でもある。また少し斎藤氏への好感度がアップした)で、一気に終局とあいなった。
 というわけで、どうもこの番組は単発のようだけれど、ふたたび見てみたいと強く思う次第だ。そして、今回の勝者として再び島田アナの登場も願ってやまないわけなのであった。