スズキヤが見える。
おれはこのコンビニの駐車場で生まれて唯一の交通事故に遭った。
そば屋は健在だった。以上、西鎌倉。
諏訪ヶ谷の教会健在。
そしておれの片瀬山。おれの実家があった片瀬山。この道路の向こう側すなわち鎌倉市側。
湘南江の島にたどり着いて振り返れば「さようなら556」。調べてみると500形が退役するらしい。すばらしい500形。300形には物心ついたときからノスタルジックな感じがあった。400形は座席と窓の位置がずれていてあまり好もしい印象はなかった。500形はあらゆる意味ですばらしかった。ひとつの完成系という感じがした。それすらも過去のものとなる。おれは小学5年生から大学2年生の途中まで湘南モノレールに乗り続けた。過去の話だ。おれは5000系を知らない。
駅に運転席体験コーナーがあるのも知らなかった。
タコの絵があることも。
まあ、このビルの雰囲気は変わらないが……(正確にいえばおれは片瀬山と大船を往復していたのでこのビルについて詳しくは語れないのだが……)。
江の島に向かう途中、ラジコンヘリを飛ばしている人がいた。背面飛行などして大したものだと思った。しかし、操作ミスで落とした時のショックなども想像してしまう。海に墜ちるとか……。
生しらす丼食う。
江の島につく。
手水少女の言うことは聞こう。
上にも行かず、猫の首輪にUSBメモリもつけず、島を離れる。海の家建設中。
海、開かなくともこういう人たちはいる。
海水浴、25年くらいは行っていない。なにが故郷か? おれは片瀬山の人間(腰越ではないんだよ、あえて)だが、おそらく横浜に来てからの方が、江の島に行った回数が多いんじゃないのか。そういうものだ。
雨は降りそうで降らない。懐かしい気持ちになりそうでならない。
ただ、この歳になって気づいたが、おれは海がわりと好きだ。海に入ってマリンスポーツをするでもなく、釣りをするでもなく……。
浜辺を歩いているだけで。気配を感じているだけで。
おれは海の気配を感じていくらか満足した。また地味なビルからモノレールに乗ろう。
湘南モノレール1日フリーきっぷは、大船-湘南江の島間の往復きっぷより安い。かといって、どこで途中下車しろというのか。目白山から公園を越えて龍口寺に出るか? 西鎌倉から海まで歩くか? まあいい。またいずれ、帰ることもあるだろう。