おれは大船駅を長いこと利用してきた。利用しながら、いろいろの電車の行き先はどうなっているのだろう? といつも思っていた。思いながら、とくに行く理由も見つけられずに過ごしてきた。おれの生活圏は横浜に移った。そしてまた思うのだ。「横浜線の果ての八王子はどうなっているのだろう?」
おれはいつも女に「八王子に行きましょう」と言ってきた。「なにもないから嫌だ」と都下育ちの女は応じる。おれが、なにもないからよいのだ、その地のドンキなりダイエーなりに行き、ファミレスで飯を食って帰ってくればよいのだ、といっても通じない。
しかしだ、きみ。八王子に思いを寄せて検索していたら「八王子まつり」があるというではないか。今週末にあるではないか。「行きませんか?」とおれ。「祭りならいい」と女。
というわけで、おれは生まれてはじめて八王子に降り立った。
八王子は横浜のあちらやこちらより栄えているように見えた。町も若いように思えた。川崎級かと思った。大衆ステーキも横浜には無いような気がする。
大衆ステーキ……。
そして中核派都市。
祭りは金曜土曜日曜の三日にかけて行われる。日曜がクライマックスに違いないのだが、土曜日に行く。そういう人生もある。
とはいえ、土曜もたいそうな人が来ており、たいそうな人が太鼓を叩くなどしていた。
真夏の、炎天下に……(八王子は太陽が近いような気がする)。
甲州街道沿いをうろうろしていると、出番を待つ山車があちこちにある。
彫り物などされて凝っている。
雄略天皇(だと思う)そびえ立つ。
そして肉(大衆ステーキではないだろう)が焼かれる。
とはいえ、山車の出るまで時間があるので、たまたま見つけた美術館で時間を潰す。いや、潰すというにはもったいない、とてもよいものだった。ところで、横浜でもなにか美術のあれがはじまったのかね。話題にならんようだが。
『11ぴきのねこと馬場のぼるの世界展』(八王子市夢美術館)へ行く - 関内関外日記
八王子はじまったな。
まだ明るいが、そろそろ山車の時間? いや、まだ待機だ。
そろそろ屋台の時間? いや、まだ様子見だ。
かき氷の時間。……この日食べたもの、作るのにやけに時間がかかったがうまかった台湾生まれというなんとかいうミルクかき氷、なんらかの肉の串、やきそば、ハイネケン一杯。
はははははははははは。
祭りらしい祭りだ。
そうだ、すごい数の人が踊っていたのだ。流れていた曲が「八王子音頭的なもの」と、なぜか「スカイツリー音頭的なもの」のリピートであって、脳にこびりつくかと思う(すぐに落ちたが)。
ダンスダンスダンス(昔1500mの日本レコードを持っていた)。
まだウロウロする。
神社があるので行ってみる。この祭りの発祥、べつにこの神社のものというわけではないのだけれど、あまり人がいない。ぽつんと神輿が置かれている。
神輿が勝手に歩ける言うんなら、歩いてみないや、のう!
と、いよいよ山車が出て来る。
子供たちが引くような感じ。
山車の上にはこういうパフォーマーがいる。
山車の後ろには水分補給車のようなリアカーがついている。
じゃがバター屋台のマシーンはこのようである。
わりと高い。高所恐怖症のくせに、乗ってみたいと思うおれは阿呆だろう。
丹木という地名は知らない。
通行止めされた甲州街道を行く。
まわりには高いビルもあれば古い商店などもある。平時に来てもなかなか楽しめそうだ。祭りに来たのが本意ではないというわけではないような気がしないでもないということはない。
ディス・イズ・八王子。
電気の家庭科学(意味がよくわからないので手ブレが激しい)。
こんなふうに二つの山車が接近するとどうなるか? 物理的なぶつかり合いをするのか?
答えはMCバトルである。フリースタイルの真髄がここにある。
まあ、嘘だが。
アホなことを考えていると、いきなり方向転換する山車が急接近とかいうことになる。
わりと気は抜けない。ちなみに、ややゴテゴテ感を出そうとカラーバランスと仕上がりをいじったが、赤被りしすぎのような気がする。べつにいいけど。
まだちょっと空が明るかったし……。
写真は嘘つくためにあるんだ。言葉以上に。
そんじゃまた。というか、日曜日に暇な奴で八王子が気になってるやつは行ってみればいいと思う。なんか超凄い復活山車とか出て来るらしい。それにMCバトル。それは嘘。でも、わりといい祭りだと思う。屋台もあり、地元の店も店頭でなにかやり、よそから来た客、地元の人、うん、悪くないよ。
おしまい。
>゜))彡>゜))彡>゜))彡>゜))彡
……単に屋台の数なら平塚のこれの方が上だろうが、山車の盛り上がりというのを考えると八王子が面白い。