禁断の多数決『アラビアの禁断の多数決』を聴く

アラビアの禁断の多数決

アラビアの禁断の多数決


 おれは電子音に女の人の「あっさりした/さっぱりした/無気力な/けだるい/ささやくような/抑揚のない/機械的な/無機質な/あまり主張しない」ボーカルが乗ってる音楽が好きだ。聴いたことがないのでわからないが、バックが電子音でも小林幸子がこぶしを利かせているようなのではいけない。Tokyo Ghetto Pussyの"I Kiss Your Lips"とかそういうのがいいんだ(古い!)。ほかには、たとえば、うーん、ボカロの曲なんかもそういう趣向だといえるだろうか。あと、たとえば相対性理論も同じ箱かもしれない。それと……Nav Katzeはどうだろう? ちとちがう。Date of Birthも……ちとちがうか。あんまり思いつかないけど、たぶんおれのCDの山、HDDの領域にはたくさんあると思う。
 で、禁断の多数決である。はっきり言って彼らが何者かさーっぱり知らない。ラジオで上の「トゥナイト、トゥナイト」がたまたま流れてきて知ったのみだ。これはいい曲だ。あと、アルバムでは「リング・ア・ベル」もよかった。全体的によかった。いろいろの趣向を試しているようでありながら、全体的に同じような曲が揃っていた。シングルで気に入ってアルバムに手を出してみたら、そのシングルだけが毛色の違うものだった、なんて場合もある(違うからこそそれまで自分に届いていなかったものが届いたのだ、ということだろう)。でも、『アラビアの禁断の多数決』はそんなことはなかった。おれが持っている『アラビアの』がタイトルに入ってるアルバムとしては、猛毒の『アラビアの怪人』の次にすばらしいと言える。おしまい。

アラビアの怪人

アラビアの怪人