- 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
- 発売日: 2014/08/02
- メディア: Blu-ray
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最初の五分間に映画のすべてを見せろ。そんなことを誰かが言っていたような気がするが、この映画はそういう始まり方をする。ヤクザの裏切り者、警察のスパイとされたおっさんが、コンクリ詰めで海に捨てられるのだが、問題はコンクリのところにある。漏斗でごくごく飲まされるのだ。脚を固められるとかそういうレベルじゃあない。コンクリゴクゴク。これが裏切り者の末路……。というわけで、本作はヤクザ組織に送り込まれた警察官の葛藤を描くノワールの傑作なのだが……。
大いなるネタバレに突入するので、真露でも飲んでくれ。
まあおれは甘い芋焼酎が好きなので覚えておいてほしいが。
それそろいいだろうか? ちなみに、おれはこの映画を見た影響で思わず真露を一本買った。
で、おそらく観た人間にしかわからないネタバレを書くことにする。そう、衝撃の誤解だ。おれは「囲碁の先生」と主人公の奥さんの見分けがついていなかった! ゆえに、暴行の後にドラム缶の中に入っているのは奥さんだと思っていた。それを主人公が撃ち殺す。妊娠している奥さんを撃ち殺す。そう思ったのだ。そしておれは、「こりゃあすごい。ここまでのものがあっていいのか。おそろしいおそろしい。しかし素晴らしい!」と思ったりしたのだ。観た人になら、この勘違い、わかってもらえるだろうか。わかってもらえないか。そもそもおれは人の顔を見分けるのが苦手なんだ。韓国映画も何作も観ているし、見覚えのある顔があってもいいはずだが、毎回まったく新鮮だ。登場人物も「この人はお笑い芸人の小籔に似ているなぁ」とか思いながら、必死についていこうとしてんだ。でも、毎回新鮮だし、それゆえのリアルってもんもあるじゃないの。たとえば高倉健が出てりゃ「高倉健だなぁ」と思うけど、名前も知らない韓国俳優だとすりゃ、「リアルやなぁ」と思うわけでしょ。違うかな。まあいいや。そういうわけで、後から本当の奥さん出てきたとき、「ああ? あれ、ああ、そうか、別人なの」と気づいたりして。それで、自らの身をコンクリゴクゴクからまもるために奥さんをぶっ殺したあのシーンが間違いだったって気付かされたりしたわけで。それで、感動を返してくれというのは筋違いなのだけれども、まあなんだろうね、勝手な勘違いで鳥肌立つような思いをしたのは悪いことなのかね。作り手の意図というか、意図以前の「普通に観てりゃわかるだろ」をクリアしてない人間の勘違い、これはどうなのかね。まあ、おれとしてはすげえ衝撃的だったから得したとでも思おう、架空の映画で。
とはいえ、その勘違いなしにもこいつは抜群の名作、傑作だ。『仁義なき戦い』の大友勝利っぽい「ブラザー」とか、役がなにもかもハマってる。しかしあのブラザー、サンダル履いてたけど、日本のヤンキー(女物のサンダルをあえて履いた)に通じるところがあるよなーとか思った。あと、韓国ヤクザのカチコミは拳銃ほとんどなくて、金属バット、鉄パイプ、ドス中心なんだなーってあらためて(なんの映画を見てそう思ったのだっけ?)思ったりとか。しかしなんだよ、ともかく潜入ものとしての緊張感、組織と人間、仁義なき戦い、全部すばらしい。なんたらの物乞いという殺し屋グループとか、ずるがしこい組織の上のほうとか、みんないい味出してた。こいつはすげえなあと、素直にそう思った。それで、とくに美味いとも思わない真露をグイと飲んで、こうしてメモしている。おしまい。
>゜))彡>゜))彡>゜))彡
……このへんか、韓国ヤクザもの。
……これもな。