移動型ゴミ屋敷。
人生は選択の連続であって、最適解のボタンを押し続けないと、地獄に逆落しになる。
移動型ゴミ屋敷は人力によって動く。
おれはもう人生にそうとうに疲れてしまって、脳も身体ももう言うことをきかない。
移動型ゴミ屋敷は軽自動車ほどの横幅がある。
おれはもう、人に指図されることにいちいち癪に障るようになってしまった。
移動型ゴミ屋敷は歩道での移動が不可能なため、車道を利用する。
おれは間違ったボタンばかり押してきて、押し続けて、いまも押していて、地獄に逆落しになっている。
移動型ゴミ屋敷は車道を塞ぐことになるが、不思議とクラクションを鳴らされたりはしない。
おれはもう選択をしたくない、ボタンを押したくない。
移動型ゴミ屋敷を引き継いだおれが車道を歩く二千十年代後半。