たまにおれは「半額」を買う。具体的には、スーパーに行って「半額」を売っていれば「半額」を買い、その日の晩御飯は「半額」になる。だいたいスーパーに行くと「半額」が売っていて、おれはそれを買うような気がする。
今日もスーパー行った。「半額」が売っていた。ブリの半額だ。迷わず手を伸ばそうとする。が、なにか注意書きがある。
「……まれに白い線虫が……これは人体には無害ですので……」
ようわからんが、ブリにはブリなんたら寄生虫というのがいることがあって、そいつが刺し身からこんにちはすることがあるかもしれないが、安心せよ、とのことだ。
えー。
まず第一に頭をよぎったのがアニサキスのことだ。そんな虫が「ハ~イ」してきて、アニサキスとか、あるいは他の有害な寄生虫と区別がつくのか。
そして第二に、そんな虫がウネウネと出てきた刺し身を食う度胸がおれにあるのか? ということだ。おれは一度手にとったパックを戻した。戻して、「解凍」と書かれたカツオの「半額」を買った。それが上の写真である。
それで、人体に無害なブリなんとか虫はなんなのか。
ブリ糸状虫。これである。東京都保健福祉局のサイトには、人体に無害とは書いてないが……。あ、上のパンくずリストにこうある。
人体に影響を与えないが苦情の多い寄生虫
まあ、そりゃ何も知らんとブリの刺し身切って白いか赤いかわからんが、なんかウネウネしたのが出てきたらスーパーか魚屋に苦情を入れることもあるだろう。いや、魚料理慣れしている人は「はいはい」くらいの感じかもしれないけれど。でも、おれだったら驚く。「切るだけでいい」という理由で「半額」を買い、火を通さなきゃ食えない魚など面倒、というおれには無理だ。たぶん、今日おれの行ったスーパーも、おれのような人間から「苦情」があったのだろう。おそらく売上に影響すると思うが、明示するのは誠実ではある。
しかしまあ、刺し身の寄生虫=危険と思いがちだが、そうでもないようだ。
「「寄生虫と思うが害はありませんか」と言う問い合わせが多く上がっていますので、一覧表にまとめました」というので一覧表を見てみると「害なし」が多い。けど、ブリ糸状虫は「体長50cmのも有」だって。そんなん見たら一生魚食えんわ。まあ50cmのブリ買わんだろうし、さすがにパックするまでに気づくだろうが。
というわけで、まあ、ともかくアニサキスには注意して「半額」を買おう。できれば日和って「解凍」ものを買うことにしよう。それで、いつかなんか「害なし」に出会ったら……どうなるかな。精神的にやられそうではある。なお、それぞれの寄生虫の写真や動画は広大なネットに山ほどあるので、見たい人は見ればいい。おれは嫌だ。以上。