I cannot fight the blues.

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断酒日を設けて三週間目に入る。おれの断酒日は月曜日、火曜日、水曜日、木曜日だ。その間は一滴もアルコールを口に入れていない。一滴もだ。

内臓が気持ち悪くなることがなくなった。日中もひどい状況になることはなくなった。いい事づくしだ、どうせなら酒などやめてしまえ……と言いたくもなるが、言えない。

ともかく、不安なのだ。なにが不安なのか? ではない、ともかくの不安がおれを襲うのである。おれが酒を飲んでいた食後から就寝までの間、ひたすらに不安で、なにもできず、暗く沈んでいる。抗不安薬をボリボリ食べてもおいつきはしない。睡眠導入剤を飲んでも眠れない。

不安の原因はなにか? ないわけがない。生きてきた人生の後悔、職を失えば自殺するしかない未来、それらに対して無力な現在。これが漠然としたものならまだ莫妄想とでも言えようが、すべて具体的に存在している。しかし、もう手の打ちようがない。比喩として用いるに適切かわからないが、原発事故で生じた燃料デブリのようだ。近づくこともできないし、処理することもできない。

そこで、酒か薬でとりあえず放射をふさいでいる。そう思っていたが、薬だけでは無理だったのだ。酒がふさいでいてくれたのだ。その蓋が開いたから、おれは不安と抑うつに支配されて、ただ一人苦しんでいる。

この苦しみに意味はあるのだろうか? ありはしない。この苦行を乗り切った先にはなにもない。だったら……やっぱり酒を飲むしかないのだろう。ひとまずは普通の気分でいさせてくれる。今度医者で血液検査をすることにしたが、その結果を知るのは一ヶ月先だ。それまでの非断酒日には酒浸りになるだろう。もしも酒が絶対に駄目と血液検査の結果が語ったら、それはそのときに考える。