秋の大磯さんぽ

おれはコロナ禍になってからあまり出歩いていない。出歩いて写真を撮ったりしていない。だが、文化の日に女の人と大磯に行くことになった。はじめは新大久保あたりで生キムチでもきめるかという話だったが、おれの胃の調子が悪いので食べる方向はやめた。

 

Jアラートでなんとなく目が覚めたおれが立つ朝の山手駅。今回のカメラは「iPhone 14 Pro」である。カメラとしてどのていどのものか、レンズ交換式カメラは持ち出さなかった。

 

さて、いきなり大磯駅である。大船から東海道線、藤沢を過ぎてちょっとしたら大磯だ。近い。

 

今日はビーチには行かない。

 

なんか小さななんかがあったりする道を行く。

 

はい、最初の目的地「めしや大磯港」。

めしや 大磯港 - 大磯/魚介料理・海鮮料理 | 食べログ

しけの日は休店とかいう港にあるハーコーな海鮮料理店である。レビューなどを見ると、11時開店前には行列ができているという。というか、調べてみると、大磯、あまり食べるところが多くない。漁港もあるのに、このような店がほかにない。

 

さて、われわれが到着した開店15分前くらいには、行列ができていた。ざっと数えて30人くらい?。みんなが「刺身定食」を選んだら「刺身定食」が食べられなくなる。はい、食べられなくなりました。店の人が行列に出てきて人数と注文をとっていく。一巡目の入店者のオーダーが終わり、二巡目に入ってすぐに「刺身定食終わりましたー」となった。行列から「ええー」と声が漏れた。やっぱりなんだ、新鮮な魚介なら刺し身だろうと思う人は少なくない。というか、おれもそうだった。

 

おれが手に入れたのは「タイ」である。タイカレー? トムヤムクン? 違う、真鯛塩焼きである。刺し身でなければ真鯛塩焼きという思考回路はよくわからない。ただ、煮込みより塩焼きだよな。真鯛だよな、という思いはある。そういう思いをする人が多く、刺身定食なきあとは「真鯛」の注文が相次いだ。

 

こんな船を見ながら一巡目の人たちが食べ終わるのを待つ。結局、最初に並んでから、配膳されるまで、一時間くらい待った。どうせここに来るなら、一巡目に入れるように早く来すぎても早すぎるということはない。

 

大・アカハタ姿造り3食が売り切れていないのが気になったが、おれは「タイ」だ。おすすめ! と書いてあるので悪くないだろう。ちなみに、自分たちよりあとの人がアカハタを注文して、どんなものか見たかったが、見られなかった。こういとき、アカハタにいけないのがおれの生き方ともいえる。

 

はい、真鯛塩焼き定食きたー。ブリの刺し身とアジフライもついている。みそ汁と漬物もあるので、白米の配分がキーとなる。

 

焼かれた魚である。ふだんあまり魚を食べないので、こういうのは久しぶりだ。鯛は骨が太く、細かくないので身がきれいにとれる。太いといえば刺し身のツマが太めで、女の人が魚ではなく「このツマおいしいね」と言っていた。そういう人である。周りでは「生中!」という注文が聞こえてきて、誘惑に負けそうになるが、このあと歩く予定なので自重する。

 

すぐ近くの物産館みたいなところに寄る。小さな窓口でシラスの売買をしており怪しげである。いや、怪しくはないか。中ではまあ、漁港にあるこういう施設らしいあれこれが売られていた。

 

パンの蔵 (パンノクラ) - 大磯/パン | 食べログ

パンの蔵というところのアンパン4個入りを買った。750円。少し高いが、まあいいだろう。あとで食べる。

 

海の色がなにか違う。なにか違うって、横浜は山下公園あたりで見るそれとは違う。ひさびさに海を見たような気がする。

 

釣り人が多い。釣れているのかどうかはわからない。駐車場などけっこういっぱいだったが、釣り人とサーファーだろうか。

 

海沿いの小さな公園のプールサイドでくつろぐカモ連中。本物の水よりいいというのか。

 

砂の山。

 

ここを埋めたてるのではなく、「なんとか砂1トン」とか注文を受けてでかいトラックとか来て持っていくところなのだろう。

 

太陽は燦々と。風は強い。波も強い。たまに飛沫を浴びる。気温も高い。25度予想は25度くらいであって、上に着ていたジャージ的なものを脱いだ。

 

富士山も丹沢大山あたりもくっきりと。これは光学3倍ズームかな。光学3倍はなかなかいい。あと、色合いもそれほど不自然ではなく、目で見ている印象に近かった。少なくともiPhoneの画面で見る上では。そして、こうやって貼り付けていても。

 

ただ、「写真だと真っ黒になってほしいな」というところを明るくしてしまう感じはあった。この写真では黒くなってくれているが。それほど写真マニアではないおれには、まあそこまで作った色ではないなという印象だが、さあどうだろうか。というか、仕事でPhotoshop使って色をつくってる人間の言うことだが。

 

まだプールサイドでだらけているのか、君ら。

 

さて、このあたり。このあたりは来たことがある。というか、ここに来た。ここはアオバトの飛来地である。塩分を求めて丹沢から飛んでくる鳥である。

大磯にアオバトを撮りに行くのこと - 関内関外日記

12年前のことである。わざわざアオバトを撮りに、自転車でここまで来た。だが、今日はアオバトがいないことはすぐにわかった。鳥撮りが一人もいないからである。まったくいない。釣りをする親子連れなどしかいなかった。

 

波は高めで見応えがあったが。

 

死んだ魚などもいたが。

 

細い道を通って東海道に出よう。

 

湘南発祥の地を主張したりしている。

 

その根拠となるなにかがあるなにかがあったが入場有料だったので入らなかった。そとに何個か飾られていたこれはなんだろう? ハロー。

 

歩いて、目的地を目指す。事前に調べた経路探索より長く感じる。しかしなんだ、太平洋岸自転車道。前に大磯に来たときも、真鶴半島の方まで行ったときも、これはなかったように思う。ちなみにおれは自転車ではなく新幹線に乗ってこの自転車道の果てに行ったことがある。

和歌山の加太へ、わさびスープを食べに行く - 関内関外日記

 

わざとらしいボケー。iPhoneポートレートモードで撮影したものである。しかし、これがわざとらしいとか、わざとらしくないとか、だれに判定できるのか。

 

広角っぽくして撮ったクロマツ。松並木よな。

 

明治記念大磯庭園というところに寄ってみる。入場無料だから。

 

しかし、工事中。でも、中身が見られるのは逆に貴重では?

 

耐震補強などを目的として「あげや工事」をしているという。油圧ジャッキで建物を押し上げるのだ。すごい。

 

目標までもう少し。この光景を見られるのももう少しかもしれない。

 

やはりちょっと加工的な不自然さのあるボケー。

 

100円のイモー。

 

はい、目的地に到着ー。県立大磯城山公園。おおよその神奈川県立公園には行ったことがあるわれわれだが、大磯城山には行ったことなかった。大磯城山公園は旧吉田茂邸ゾーンと城山ゾーンに分かれている。両ゾーンをつなぐ橋などはなく、普通に国道1号線を横断歩道を渡って行き来する。指定管理者は神奈川県公園協会のグループだが、予算によっては県の平塚土木事務所が直接出てくる。

 

門。

 

吉田茂邸。……って、みなさんご存知かどうか、これは平成21年の火事でなくなったものを再建したものである。麻生太郎大先生のありがたいお言葉がネットで見つかったのでリンクしておく。

旧吉田茂邸再建、孫の麻生太郎財務相は反対だった…「全然意味がありませんからお止めになったら」(1/2ページ) - 産経ニュース

 

まあ、なにからなにまで新調して、それがどうかという話はあると思うが。

 

湯船なので船であって、オリジナルは大磯の船大工が作ったのだとか。

 

バカヤローのモニュメント。

 

しかしさ、建物の窓から見える風景とかはさすがにすげえなという感じ。

 

庭木の方は燃えなかったのかな。

 

吉田茂像どーん。

 

この像、サンフランシスコの方を向いているという。目の前の海の方を向いていない。女の人が「海の方を向いていないのにアメリカというのはおかしい」という。たしかにそんな感じもする。Google Mapsで像の方向に合わせると……、視線の先は藤沢、大船、そして千葉、さらに太平洋を進んでいけばアメリカになる。女の人は「それはおかしい」というが、海の方、伊豆大島の見える方をどんどん進んでいくとパプアニューギニアがあり、オーストラリアがある。おれも、なんとなく湘南の海の向こうはアメリカみたいなイメージがあったのは確かだ。しかしあれだ、湘南の海は南向いてるんだよな。吉田茂に教わることは多い。

 

さて、国道を渡って城山の方(旧三井別邸地区)へ。この時点で、もう15時近い。大磯港あたりで時間を使いすぎた。あと、わりと旧吉田茂邸地区の庭も面白かった。まあいい。駆け足だ。とりあえず見晴らしのいいところでアンパンを食べなければならない。

 

はい、展望台から富士山。

 

太陽の高さはこのくらい。このあたりまで、植栽はちゃんと剪定されていて、かなり手入れされている印象があった。が、裏の方はわりとワイルドで、指定されたバリアフリールートを通らないと、なかなかハードな公園であった。

 

まだ、明るいし晴れている。

 

なんか休憩所のベンチに座る。

 

アンパンを食べる。おれはピーナッツアンパンとカボチャアンパンを食べた。そんなにお腹空いていないかもと思ったが、けっこう歩いたのですんなり入った。

 

さて、帰るか。と、これ、わかるかな? けっこう長い枝が浮いている。これこそポートレートモードで撮るべきだったか。ちょっと後ピンになっているあたりを察してほしい。まあ、蜘蛛の糸に引っかかっているんだけど、こんなにでけえ枝をぶらさげてる蜘蛛の糸は初めて見た。けっこうな驚きだった。見上げると、けっこうでかい蜘蛛がいた。

 

日当たりのよいところではツワブキが咲きまくっていた。

 

日当たりのよいところでは紅葉があるていど進んでいた(ほかはほとんど紅葉していません)。

 

ほーん、ちょっと秋っぽいな、とか思っていたら、すぐに神奈中バスが来た。帰りは大磯駅までバスだ。もう歩けない。

 

夕暮れちょっと前の大磯駅。宇都宮行きのなんとかラインが来る。寝過ごしたらたいへんなことになる。ちゃんと大船で降りた。「お茶でも飲んで帰りますか」という話になったが、大船駅内のコーヒー屋が満席で、もう疲れたから解散ということになった。おつかれさま。

 

お土産はどんぐり3つ。

 

そして高知県の司牡丹酒造の純米酒。なぜ高知県? 吉田茂が愛飲していたのが司牡丹だという。それと大磯がコラボレーションして売ってますよと、旧吉田茂邸(新築)の中の展示にあったのである。大磯駅の対面にある地場ショップみたいなところに売っていて、2,000円くらいだったので買ってみた。なかなか高知の日本酒を飲むこともない。で、味はといえばこれがもうすっきりし過ぎというくらいすっきりしている。ものたりないという人もいるだろうが、おれは日本酒についてひたすら辛口(日本酒度が高い)がよい、後味がすっきりしているほうがよいという人間なので、これでよい。そんなら日本酒なんて飲むなという声も聞こえてきそうだが、言われるとおり焼酎とかウイスキーを主に飲んでいます。

 

で、iPhoneをカメラとして一日使った感想というものを最後にメモしておく。慣れの問題もあるだろうが、やはりおれはカメラのシャッターを切るほうが好きだ。どうもなにか、液晶モニタをピロンとするのは写真を撮っている感じがしない。落としそうで怖いというのもある。

バッテリーの減り具合というのも少し気になった。買ったばかりのiPhoneでフル充電でも、午後になると40%を切っていた。モバイルバッテリーで充電したが、そのあたりもある。もちろん、デジカメでも電池の入れ替えは必要になってくるのだが。

いま、見た感じの色合いというか、撮れ具合についてはとくに文句ない。というか、仕事でも「おれのレンズ交換式カメラより、あなたのiPhoneの方がきれいに撮れますよ」という場面は何度もあった。そして、おれのiPhoneは目下のところ一番新しい。きれいに撮れているだろう。なんか変な写真は撮りにくいのかもしれないが、まあそんな技術もないので。

でもな、やっぱり写真はカメラで撮りたいな。バッテリー問題とかが解消してもそうだ。というわけで、機会は少ないかもしれないが、次に歩きに出るときはミラーレスでもないAPS-Cの古くて無駄に大きいカメラ持ってくかな。こんな日記であれば「旅行用レンズ」みたいなのつけて。あるいは、古いミノルタのf2.8の100mm単焦点レンズつけて、どっか行くか。外出は悪くない。疲れるけどな。

 

以上。