エヘ! 度し難い! 『連ちゃんパパ』を一気読みしてしまう

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仕事中にこんな記事を見かけた。「後で読もうかな」と思った。アパートに帰って、酒読みながらiPhoneで読み始めた。止まらなかった。最後まで読んだ。

ひでえな、これ。

いろいろな人がいろいろな作品にたとえているけれど、おれもやはり頭の中で「これに似ているのはなんだろう?」と考えずにはおられなかった。闇金も出てくるし、『闇金ウシジマくん』、それとも『ナニワ金融道』? 深刻な依存症なのに絵柄がやさしいから、吾妻ひでおのアル中もの? 『自虐の詩』? なんか、どれとも違う。なんなんだろうか、このシャッキリポンとした「悪」というものは。いわく、言い難し。サド公爵ですら悪人にはとってつけたような天罰を下したりしていたが(いきなり最後に雷に打たれるとか)、そんなものもない。登場人物(ほぼ)全員悪人という意味では『アウトレイジ』的というのか。人間のだめなところを描いているというとチャールズ・ブコウスキーセリーヌ、あるいはエルロイの名前を出したいところでもあるが、そこまでか? という気もする。何かに似ているようで似ていない。陳腐な言葉で言えば「個性がある」。

で、まあ、なんというか、自分が理解できている単語ではないのだけれど、おおよその登場人物それぞれについて、「サイコパス」という言葉がふさわしいのかもしれない、などと思った。とはいえ、この漫画にドミネーターは出てこない。免罪体質者たちが、おのれの欲望のままに動いて、一旦は反省したかのように見えて、「エヘ!」とか言ってパチンコ打ってる。もちろん人殺しもいとわない。なんなんだこれ。

でも、言っておきたいのは、漫画として面白えってとこだ。さっきシャッキリポンって言ったけど、『美味しんぼ』あるじゃん。本題であるグルメについても、趣味についても、政治思想についても賛否両論というか、嫌われる要素すごいあんじゃん。でも、なんだかんだ言って、みんなけっこう読んでんじゃん。それってなんだかんだいって『美味しんぼ』が漫画として読みやすくて面白えってとこがあるとおれは思うのよ。

そういう意味では『連ちゃんパパ』もそれなんよ。入りやすい絵柄だけじゃなく、たぶん漫画としての読みやすいコマ割りだとか、ストーリーテリングの妙とか、そういうものがあるんよ。そうじゃなきゃ、これだけの量(普通の単行本換算で何巻かはわからんが、そんなに長くはないか)を一気に読むことはできねえ。最終話とか読んでみろよ、なんか小粋なアメリカ小説の短編みたいな終わり方してるしよ。少年時代、ある程度、漫画を読んできたおれはそう思う。しかし、元はパチンコ雑誌の連載だというが、読者の支持があったのか、好き勝手できるスペースだったのか、想像がつかん……。

でもって、話をパパに戻そうか。雅子さんに戻そうか。フィリピン……なんかやめておいたほうがいいような気がする。穴を掘って、埋めておいたほうがいいように思う。うん、そうだ、なんか開けてはいけない箱だった。描かれた時代とかいうものも突き抜けて、なんかこれはやばいブツだった。そう思おうじゃないか。でも、無料で読めちまうんだから、まあ、読みたかったら好きにすればいいさ。あ、あと、実写化するなら主人公はソン・ガンホがいいと思った。以上。

 

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連ちゃんパパ【合冊版】(1) (ヤング宣言)