トウショウファルコは藁を食んでいた

 用事九割で根岸森林公園へ行った。ここの敷地には馬の博物館があり、ポニーセンターの厩舎にはトウショウファルコが居る。博物館の方に入るのは金がかかるけれど、ファルコの厩舎の前に行くのは自由だ。このよく晴れた日も、子ども連れの親子などがいろいろな馬を見にやって来ていた。ファルコは馬房の中にいた。まだ寒いせいか馬着*1を着けていた。首を曲げて足元に落ちた藁を食べていた。馬がこういう姿勢になるとなかなか顔を上げない。北海道の牧場などで写真のために石を投げる不埒なやつがいるという。そういう奴は根気が足りないのだ。俺も根気が足りないのは変わりない。ただ、石を投げたりはしない。顔を上げるのを待たず、ただ藁を食む様子を見ただけで満足するのだ。

 ファルコは一割であった。用事は梅林の写真を撮ること。しかし、梅林が見つからない。園内に案内図が少なすぎる。迷い出て、根岸競馬場跡地に来てしまった。ここら辺は米軍の敷地などもあり、なにか特殊な雰囲気だ。そんな中で、一番特殊な雰囲気を放つ根岸競馬場一等馬見所跡。遥かに見えるランドマークタワーに張り合おうかという存在感。そんな存在感のある廃墟だ。あちらにファルコが居てこちらにこの廃墟。横浜の懐の深さにうなる思いだ。

 電話などを用い、ようやく梅林が見つかった。おおかたのウメは咲いていた。咲いていないウメもあった。写真を撮っていると日が翳った。寒くなってきた。俺は写真などろくに撮ったことがないから、適当に撮って適当に切り上げた。

 帰りは根岸の坂を下り根岸の駅に出た。根岸の駅前の東急ストアで買い物をした。電車に乗って帰った。山沿いに公園まで歩き、山を下り電車に乗り、また山を登って家に帰った。そんな風にぐるりと回った俺の日曜日というわけ。

*1:馬の防寒着。この名詞は今調べて知ったhttp://www.baguya.com/max/bagu/stable/stable.htm