黒く、黒く、黒く塗りつぶせ

 わけあってテレビ前には三時過ぎ、馬券購入もまだというありさま。弥生賞は大本命のディープインパクトから三連単馬単数点。中京記念メガスターダム単勝馬連数点、仁川ステークスはサカラート単勝のみ買った。ほとんど時間との戦いだった。結果的に、無理して買わなければよかったのだけれど。
 さて、何と言っても弥生賞。さんざん馬券はディープ外そうと思っていたのに、急遽宗旨変えした。何故なら、内外タイムスの一番バッター鈴木和幸と本紙橋本千春が揃って◎を打っていたからだ。いや、◎くらいなら誰でも打つ。具体的に言えば、橋本の予想文の中に「輸送だの道悪だの重箱の隅をつつくようなあら探しをするのはむなしい」というようなことが書かれていたから。俺は「むなしい」の四文字にしびれたね。俺がディープを外そうと考えていたのは、ディープのあら探しをすることどころか、単に配当のみの問題で、力的には最上位という気ではあったのだ。あらも探さないで外すのは、どれだけ「むなしい」ことか。というわけで、ディープから行ったわけだ。
 結果、三角四角で持ったままスーッと上がってくるあの競馬。衝撃というよりも、忍び寄る幽霊のような怖さだ。着差は少ないけれど、先行ペースで差し切ったのだから大したもの。これでさらに「むなしい」あら探しをするならば、後は多頭数と馬群で揉まれるような競馬だろう。ただ、武豊が腹くくって最後方+大外ブン回しを決行するならば関係ないかもしれない。けど、そんなことしてたらストーミーカフェに逃げ切られるかもしれない。うーん、やはりクラシックが楽しみだ。
 中京記念メガスターダムが‘ニホンピロウイナーの2マイル越え’を目指して快勝。落馬の影響がありながらも「俺が乗る」とやってきた松永幹夫の心意気に応えた。そういえば前走は松永が乗れなかった。その日、松永は東京に来ていた。しかし、メーンのクイーンカップに乗るわけでもなく、不思議に思ったものだ。あれはカシマフラワーが回避したとかなんかあったんだろか? そういえば、西田が大逃げを打って存在をアピールしてたな。あれはなかなかの営業活動じゃなかろうか。
 仁川ステークス・G3。……と書いても違和感のないメンバー。上に書いたとおり時間が無く、レコードホルダーでちょっと贔屓目のサカラートの単を慌てて購入。エンシェントヒルが軽量で出てるのに気が付いたのは、テレビで輪乗りに入った段階。「絶対に直線で14番がブッ差してくるから」と、スタートからゴールまでの間に十回くらい言ったと思う。実際、ディープインパクティックにブッ差し切った。配当を見て吐きそうになった。色々書いたけれど、この日の競馬はこの後悔に尽きる。負の感情は黒い色をしているから、他の色を塗りつぶしてしまうのだ。うぅぅ。