モクレンの花が咲いていた

 通勤途中の道に小さな公園がある。いや、この公園は公園というより、ゴミ集積場としての地位を確立しているように思える。車の入れない路地が多い地区なので、広範囲の住人のゴミが集まるのだ。ただ、そんなくつろぐ人も居ないような公園だけれど、花や樹はちゃんと植えられている。今朝は、モクレンの花が咲いているのを見つけた。
 モクレンMagnolia quinquepeta)は中国原産の落葉高木。ハクモクレンMagnolia heptapeta)と区別するため、シモクレン(紫木蓮)と呼ばれることもある。本来モクレンと呼ばれるようになったときにはモクレン=紫だったが、その他のモクレンが身近になるにつれ、単に紫色の一種と見なされるようになったのだろう。ハクモクレンの他に、「ガールマグノリア」と呼ばれる一連の米国産のマグノリア品種や、モクレンハクモクレンの交雑種ニシキモクレンMagnolia x soulangiana)なんかもあったりする。これは植物学的な分類とは関係ない、言葉の移り変わりとして面白い。こういう例は他にもいくらでも見つけられるだろう。……と言いつつ、何も思いつかない。この例に奇妙なダルマを挙げたネタが『クマのプー太郎』(中川いさみ)にあったと思うが、どんな内容だったかはっきり思い出せない。
 今朝見たモクレンは、薄い紫色をしていたので、たぶん普通のモクレンだろう。枝に葉はなく、卵を逆向きに立てたような花が並ぶ姿は、ちょっと異様で面白い。ツツジの蕾も大きくなってきているし、確実に次の季節が来はじめている。春は憂鬱なので、早く梅雨が、夏が来ますように。