無題2

http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070316-170447.html

これでいいのか、21人死傷させ懲役5年

 まずはじめに指摘しておきたいが、「死傷」という言葉はどうにかならないか。死者一名、負傷者二十名と、死者二十一名、負傷者一名では大違いである。新聞社などとしては、スペースの限られた中で死者も負傷者も混ぜて一括にできるので便利な言葉かも知れない。あるいは、言葉は悪いかも知れないが、被害の水増し的な意図があるやもしれぬ。当然のことながら、死者と負傷者では重みが違う。同じ被害者という立場ではあるが、やはり分けて考えるのが適当なのではないか。法とて、死亡と怪我では当然量刑も違う。
 その量刑の話である。危険運転致死傷罪は適用されず、過失の扱いで五年。思わず「これでいいのか」という疑問は当然である。一瞬のうっかりなので、殺してもいいというつもりはなかったという判断なのだろう。これが飲酒運転だとしたら問答無用とは思う(id:goldhead:20060913#p2)が、法の適用というのは難しいものなのだろう。
 ところで、この五年が業務上過失致死傷罪の最高刑という。ということは、たとえばこの事件の死者が一名であった場合でも五年が最高ということだろう。ならば、死者四名ということで五年×四名=二十年+致傷分……というわけにはいかないのだろうか。
 いかないのだろう、おそらく。刑事事件の数え方というのか範囲というのかわからぬが、事件一個に対して一つの裁判、一つの罪、というのが根本なのだろう。おそらくそれは法を構成するところの何ものかに関わることなのだろう。その上で細密な法の体系が成り立っているのだから、こういった例について「死者数分を掛けろ」というのは無理があるのだろう。
 では、どうするべきか。これでいいのか、と声をあげるくらいしかないのだろうか。