[テレビ『大韓航空機爆破事件から20年 金賢姫を捕らえた男たち 〜封印された3日間〜』を見た

goldhead2007-12-16

 20年前の事件ということで、俺はまだ10代ですらなかった。なかったけれど、当時世の中を騒がせたこの大事件を知らないはずがなかった。「キム・ヒョンヒ」、「リ・ウネ」……馴染みのない雰囲気の名前(このドラマの中で「日本人の名前を見分けられるのは日本人だけだ!」ってあったけど、おそらくそうだと思う。そして、おそらく世界中……、いや、アメリカ人とイギリス人間とかでは成り立たないのかもだ)に、何か不思議な印象を抱いたものだった。あと、「リ・ウネの住んでいたアパートに警察が来て、報道陣も押し寄せ、ヘリも飛んで、俺のアパートも映った!」と音楽の教師が騒いでいたのを覚えているが、なにぶん昔のことなので、正確な記憶かどうかわからない。
 当時も、とても漠然とした印象しかなかったと思う。自信を持って言えるけれど、「北朝鮮」の認知度があがったのなんて、最近のことじゃねえかって思う。今の小中高校生と、当時の小中高校生の知識量の差は大きかったんだぜ、って思う。いや、俺が無知だっただけかもしれないが……。
 まあ、そういうこともあって、このドラマを観た。……のだけれど、ドラマといっていいのかどうか。何か、ドキュメンタリとドラマのアマルガム……というか、継ぎはぎというか。うーん、こういうのはどうなんだろう。確かに、この番組が伝えようとする情報を視聴者に受け取らせるには、十分な役目を果たしたと思う。が、見ていて「どっちかはっきりしろ!」と思うこともあった。また、この『土曜プレミアム』枠程度にそこまで求めるかって話もあるだろうけど、やっぱりどこが脚色なのか、付けたし、演出、誇張なのか……というのが、余計問題になりかねない作りのようにも思えるのだ。
 と、枠についてはいろいろ思うところもあったが、内容については引き込まれた。実際にあった悲劇についてこう言っていいのかわからないが、スパイ小説を読むような気にすらなった。わずかな手がかり、可能性、偶然、いろいろが重なり合って、ああなって、こうなった。こうなったあたりについては、なんとなく現在の話として知っている(ような気になっている)が、ああなっていたところの現場が、こうでしたか、と。そして、日本大使館も女スパイスチュワーデスレディや闇社会と繋がりあったんですか、なかなかやるじゃん。つーか、この三人グッドジョブ。
 そういうわけで、高嶋政伸がホテルマンや空港職員に見えたり、伊藤淳史がアラブ人に見えたり、勝村政信はしっくりきていたり、本物の金美姫より美人ではないながらも(どうだろうか?)、何か微妙な感じが出ていた……美元さん?、そして、なんだかリアルだかわからない存在感のあったハチヤシンイチだとか、いや、なかなか何とも、何だろう、まあ、妙な、番組の作りとしては妙な、情報はそれなりに充実した、総合的にそれなりの、そういう番組だったと。
 でも、ちょっと中途半端なところは否めないなあ。たとえばちょっとキャリアとノンキャリの格差や反目を描こうとしてたけど、たぶん実在の人たちの迷惑になるのか、そのあたりがな。組織と個人、それもまた大きなテーマ。たとえば、バーンって堤真一が装備品ぶちまけたあと、岡田君とかが一個一個机に戻していったじゃん。それでみんな無言で席についてさ。そこでさ、俺、思うに、あのあとどうしたんだろうって。ドラマとしてはそのシーンで終わっていいし、あれはよかったと思うけど、そのあと、どうしたんだよって。そんなところ気にするなよって思うが、ちょっと気になっちゃうわけじゃん。
★☆☆☆☆
上の写真はみなとみらいにある工作船展示館に展示されていた工作船工作員の持ち物と思われるタバコ。その工作員たちは自爆しちゃったんだけど、タバコにも毒が仕込んであったのだろうか? 写真が青かぶりしすぎていてかっこ悪い。