俺の湘南モノレールがたいへんなことに

左写真:2月25日付け神奈川新聞一面。「相手がよけると思った」、「FBI新証拠を発見」など、一見モノレールがすごいことになっているようである。

 二十四日午前九時五十五分ごろ、鎌倉市西鎌倉の湘南モノレール西鎌倉駅で大船発湘南江の島行き下り車両がホームを約四十メートルオーバーラン、切り替えのポイントに衝突した。

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiifeb0802677/

 俺のモノレールがニュースに! ……って俺のものでもないが、小学五年生で塾に通い始めてより十年以上定期券を持っていた人間、そういう感覚を持つことをお許しいただきたい。そして以下、モノレールから遠くなって何年だろうか、そういった人間の回顧であること、また、生活者としてのモノレール利用者に過ぎなかったことをお断りしておく。
 さて、事故現場はテレビのニュースでも見た。西鎌倉の駅の近く片瀬山寄り。下には交番、そしてテニスコート。このテニスコート砂入り人工芝コートなのだけれど、初めてそうなったのを見たのが台風の翌日かなにかだったため、「あのコートはずっと汚いまんまだなあ」としばらく見下ろしていたことを告白しよう。あと、みなとみらいの電波塔も、ずっとビルの造りかけだと思ってた。それと、上の写真の奥の方に見えるバレエ教室。駅のホームの方向に大きな窓を向けていて、はっきりいってバレエ丸見えだったのだけれど、いつからか大きな鉢植えを置いて隠すようになった。なにか不埒者でもいたのかもしれない。どちらもずっと昔の話だ。十年スパンだ。
 それはともかく、切り替えポイントの場所。あれって、下を歩いていると、上の方から「ぐァらごん」だか「ごっごぉん」だか音がして、ゆっくり動くのが見えるわけだ。そして、だいたい地元民なら、レールの息づかいを感じていれば、事前に車両のやってくる気配を感じられるものなのである。そしてまた、神奈川新聞紙面には記されていたように、ここは上り電車にとって高速ストレートの先。なにせ、片瀬山から諏訪ヶ谷、西鎌倉まで下り坂からの一直線。真下を走る道路においても同じことだ。そう、そして確か、この付近だった、かつてのモノレール事故。すなわち、作業中のクレーン車とヒットしたのも。俺の知る限り、モノレールの事故というとそれくらいだったのだけれども。
 そうだ、湘南モノレールに、というか、おそらくモノレールに事故は少ない。飛び込み自殺できないこともないだろうが、あんまりモノレールに轢かれて(?)死のうという人もいない(というか、どっかの駅のホームから台に降りて、台から道へ飛び降り自殺すればいいと思う。モノレールのホームから飛び降り自殺しないでください)。あるいは、踏切も存在しないので、自動車事故、人身事故(昔、鎌倉山のトンネルを走り抜けたという小学生の伝説があったとかなかったとか)の類もほぼ考えにくい。とはいえ、ブレーキ故障一発で大惨事寸前もありうる。完璧な乗り物などないのである(映画『スピード』が流行ったころだったろうか、モノレールが止まらなくなったらモノレールに乗りあわせるという、かなり怖い夢を見たことがある。パニックになりつつ、江ノ島の駅には全然たどり着かないのだけれど。夢だから)。
 まあしかし、俺が何を言おうと過去を呼び出すだけの話。現在の利用者にとっては、大変なことだろう。平日の乗客約三万人がこの距離のローカル線としてどうなのかはわからんが、少なくとも朝夕のラッシュ時はたいした混雑だった。ギュウギュウ詰めだし、富士見町あたりじゃ乗り込めないこともあった(押し込み係の駅員さんがいたくらいだ……無人駅なのに駅員なのだろうか?)。その足が奪われるというのは大きい。もちろん、ほぼ真下を走り続ける道路もあってバスもあるが、バスのキャパシティもあるだろうし、時間が見えない(だから俺路線バス嫌い。というか、バスを利用して通勤・通学するイメジがわかない)。もしも俺が、たとえば逗子の学校に通っているころだったらどうしたろう。親に、鎌倉の裏駅まで送ってもらったろうか。この「裏駅」って言い方も、ちょっと地元民風だろうか。そこへの道筋は……というと、また止まらないのでここらあたりにしておく。
 そして湘南モノレール、無事に復帰することを願う。あと、正直、青色は千葉みたいだからやめてほしい。
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