痛哭の検閲機械人形になった古舘伊知郎研究

自民の「報道ステーション」抗議、古舘キャスターが釈明

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080609-OYT1T00573.htm

 前にどうでもいい謝罪シーンのメモついでに取りあげた、自民党の抗議、それに対する古舘のリアクションなんだけどさ、やっぱり俺、古舘はどうかと思ったぜ。たしかに古舘の言う通り、日本国の政治家にとってさ、笑ってられる局面なんて一つもねえのかもしれねえし、その上で政治家が国のためにやれるべきことをやっているのかどうかは疑問だぜ。
 でもさ、「笑ってられる局面」の「笑って」はさ、比喩なわけじゃん。すげえピンチって意味じゃん。それはわかるさ、でもさ、なんで古舘の発言が問題になったかっていえば、その発言を当の会議そのものではない談笑シーンの映像を受けて出したことじゃん。こういう映像上のトリック、レトリックって些事かどうかっていえば、ちょっと判断つかなくて、小手先の薄汚い手法といえばそれまでだし、あるいはテレビという巨大で強力な装置がやるにはあまりにもやばいことなのかもしれねえが、まあその規模はわかんねえよ。いずれにせよ誉められたやり方でも、賢いやり方でもねえよ。
 問題はやっぱり、その映像にあの発言をかぶせてしまう古舘のメンタリティでさ、もうそこでは比喩が比喩でなくなっちゃうわけじゃん。政治家の方策や何かを論じて「笑っていられるような局面ではない」ってのは比喩的表現だけど、実際に笑ってるものを指さして「よく笑っていられますね」って、もう本当に笑い顔、談笑バッシングじゃん。そしてそれがそう受け取られることに何の配慮もないわけじゃん。一言「この談笑を指して言うわけではありませんが」ってクッション入れる発想を失ってるわけじゃん。
 俺、それって怖いと思うぜ。だってもう、古舘自身だって笑えなくなるぜ、政治家と一緒になってってまで言ってるんだぜ、古舘が笑うわけにはいかねえよ。『相棒』の番宣に水谷豊が来ても、愛想笑い一つするんじゃねえよって話じゃん。いや、古舘はさ、愛想笑いくらいするけれど、もう自らはそういうメンタリティでやってんだ。そこに嘘はねえと思う。日本の政治を嘆き、地球環境を嘆く。一筋の光明すらない地獄にいるんだよ、もうスポーツとか伝えてる暇ねえよって空気を感じるもんよ。
 だけどもよ、そうやって世を憂い、嘆くあんたは立派だけどさ、それを人に押しつけるなよって。いやさ、俺だって政治家が立候補して、自ら進んで政治家でいる以上、他の人以上に世を憂えるべきだとは思うし、実際の政治家がそのような人たちだと言い切れないところはある(もちろんそういう人がいないとも絶対に言わない)けどさ、笑い顔ひとつ指さして、「貴様ァー! この国家と地球環境が存亡の時にぃ! 歯を見せて笑うとは何事であるかーッ!」って、「歯ァくいしばれー!」って、ビビビビーッ(水木しげる風ビンタ擬音)ってさ、そういうノリは嫌なんだよ。だってよ、政治家が選挙で選ばれてる以上さ、俺ら国民の責もあるわけだし、俺らも当時者なわけじゃん。そりゃあ国のことも地球環境のことも考えるけどさ、お前のその、人間の表面上まで介入するよな考えはごめんだもんよ。
 だからさ、極論になるけど、まだ私腹をなら私腹を肥やしてる政治家の方がマシだとすら思うぜ。そいつは糞ったれで吊されるべきだけど、まだ人間って感じがするもんよ。一方で古舘みたいな大義・正義の憲兵は、もうわかんねーもん、俺、それロボットとかそういう方に見えちまう。それでもって、そんなロボットみてえなのが、機械的に世の中を憂えて、嘆いて、そんなもん電波に乗ってすげえ数の人間が見ていてさ、健康じゃねえって思うもん。久米宏にだっていろいろあったけど、あいつは人間だったもん。それにさ、古舘だってまだ血と肉と気持ちのある人間だったときもあってさ、そいつをいいように作りかえた連中がいるなら、俺はそいつらにもブーイングしてやるさ。だからもう、古舘を誰か楽にしてやってくれよ……!
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