清原和博の引退

 清原和博がついに引退。俺は俺の物心がついた年を1985年としているので、ちょうど清原のプロ野球人生の長さそのままに世界を、プロ野球を見てきたといえる。しかし、清原のことはさっぱりわからないままであった。

 もちろん、我が血に深く根ざすアンチ巨人の精神が、巨人に傾倒し、一時は巨人のユニフォームを着た人間に対して、なんらかの色眼鏡になっていた可能性は否めない。しかし、やはりオリックスに移籍しようとも、世間の清原評、清原の扱いについて、どうにも違和感があった。アンチ清原というわけでもなく、ただどうにもどう捉えていいかわからない、そういう心持ちだ。
 振り返ってみるに、デーブ大久保の件のときに触れたが、西武黄金時代は俺の中に深く根ざしている。その打の中心選手としての清原をどう見ていたのだろうか。思い返すには、俺は清原より断然秋山幸二が好きだった。走攻守の三拍子。圧倒的に秋山だぜ、というところがあった。次に目を転じれば、辻とか田辺? みたいな趣味。それでもたとえば、「今の巨人で守備を理解しているのは、西武で鍛えられた清原だけ」みたいな評論を見ると、やっぱりそうだよな、さすが清原、などと思いはしたっけな。どんだけ西武好きなんだ俺。
 それに、無冠の帝王ということか。俺はどうも「無冠の帝王」はあまり好きでない。それもある。清原の積みかさねた数字は日本プロ野球史上に輝くものだが、やっぱりどっかで「三冠タイトルないしな」というというところがある。実はこの思い、崇拝に近い思い入れのある前田智徳にすら抱いているのだから、けっこう根深い。
 ……いや、しかし、やっぱりキャラかなあ。もちろんメディア越しのキャラになるわけだけど、どうにもなあ。それがわからん。わからんし、実際に清原とふれあう機会などないわけであって、やっぱりこれはもうわからん、ということだろう。もちろん、イチローのこんなコメントを見ると、いろいろ感じるところはあるけれども。

ただ、今だから言えますが、僕自身、清原さんにあまりいい印象を持っていない時期もあったりして(笑い)、僕みたいな人間を受け入れてもらえないかも、と思っていました。それでも、実際に会うと、すごく僕のことにも興味を持ってくれて、本当にうれしかったことを覚えています。

http://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/p-bb-tp2-20081002-414966.html

 俺はまたイチロー信者みたいなところもあるのだけれど、端から見て水と油に見える清原と仲がいい。その違和感。しかし、そのイチローも「清原さんにあまりいい印象を持っていない時期もあった」と言う。とすると、やはり清原すごいのかもしらん、などなど。
 しかし、やっぱりそれでもなんだ、清原はわからんということにしておこう。おそらく、これからも、ひょっとすると野球界で大きな道を歩んでいくのかもしれないが、たぶんそれについても、どこか違和感、ずれを感じつづけるのだろう。まあ、それでええ。無理して箱に入れることはないし、清原が俺の考える俺の世界の箱に入りきれない大きさの人間かもしれないしさ、っと。