ジャパンカップ・ゾンビー

 ジャパンカップは一番好きなレースだ……った。俺が競馬を始めた十数年前は、まだ日本対世界という構図が楽しめた。未知の海外馬というギミックが楽しめた。「日本の馬場でやりゃあ、日本馬の方が普通に強いよ」などという声もあったが、まだ一部だった。それで、ランドを買った、オスカーシンドラーを買った、インディジェナスに仰天した、そんな時代だった。
 が、どうだろう、さすがにもう、それはなくなってきた。日本馬の海外遠征、各G1レースの外国馬開放、日本馬のレベルアップ、招待馬のレベルダウン……。いや、それでもジャパンカップを楽しみにさせてくれ。まだジャパンカップは楽しみなんだ。なんか、生前の記憶を引きずる、ゾンビーみたいに、俺はそう思う。
 というわけで、くそったれ横書き、あほ馬柱の週刊Gallopを買った。買って読んだ。読んだ結果、以下のように絞られるのではないかと思った。
ウオッカ ディープスカイ オウケンブルースリ
                      メイショウサムソン
                           アサクサキングス マツリダゴッホ
 あまりにも当たり前すぎるかもしれないが、あと、無駄にmarqueeなど使ってみたりしたわけで、挙動はわからんが、こんな感じじゃないだろうか。天皇賞(秋)で、「ウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイの三強じゃねえの?」と確信したが(残念ながら週初めに)が、そんな感じだ。
 基本的には、最強級古馬ウオッカを巡り、若い三歳馬二頭が追撃するイメージ。ウオッカは鞍上岩田康誠だし、信頼したい。それに、弱いと言われる世代ながら、この二頭は別格(=他世代のトップと同じくらいのレベル)扱いでいいのではないか。この三頭の意地の叩き合いを見たい、というところ。
 が、三頭だけにはちょっと絞れない。メイショウサムソンはやばい。「もう終わったのでは?」というあたりがやばい。鞍上が石橋守に替わることで注目を集めそうだが、このくらいの人気のときがやばいように思える。ちなみにこの乗り替わり、なにかもう至極当然のことに過ぎないように思え、これといった感想を抱けないというのが正直なところ。武豊には悪いが。
 そして、万一のアサクサキングスマツリダゴッホアサクサキングスあたりがメイショウサムソンとともに先行からするする抜け出し……という光景は思い描ける。そして、マツリダゴッホ。中山専用機だが、なにかよく分からない作戦(馬に催眠術をかけて、右回りと思わせる、など)で、ここ一番のここに対応してきたら……と。サンデーサイレンス産駒の連続G1勝利記録などもかかっていて、なにやらあやしい。
 と、今のところはこんな感じ。馬券は多分、三連単。はっきりいって、菊花賞の週以来鳴かず飛ばずの俺、ここらで一つ蘇生したい。