疋田智『いますぐ使えるクロスバイク図解マニュアル』はよくデザインされたすばらしい本だと思ったが

いますぐ使えるクロスバイク図解マニュアル
 悔しいが……という感情がどこから来るのかはよくわからないが、俺はこの本が傑作だと思った。じつによくできていると思った。クロスバイクに興味を持ち始めた人間にとって、これは強烈に役立つ本だといっていいと思う。よくデザインされていると思う。デザインというのは、現状の問題をどう解決するかということだと、どっかの誰かが言ってたと思うけど、そういう意味でだ。
 まず、クロスバイクに興味を持ち始めた人間(なおかつ自転車趣味のない人間)にとって、「そもそも自転車ってどんな種類のがあって、その中のクロスバイクってのはどんな存在か?」 ちゅうところがわからん。曖昧模糊だ。そこんところを、アホにもわかるように図解してくれとる。そしてさらに、具体的にどんな車種を買えばいいか? どれくらいの価格帯のものを買えばいいか? そこんところを指摘してくれているわけだ。基本的なところがカタログ的に具体的に出ておって、それでもって、「最低でもGiant Escape R3」と念仏のようにとなえて自転車屋に行けばいいと(その結果俺はR2を買った)。ホームセンターで車のブランド名がついたやつを買ってはいけない、と。
 して、さらに買ってしまう段階にあって、「本体のほかに何が必要なの?」ちゅう疑問が出てくるところ、これも具体的に商品名を挙げて紹介してくれている。もちろん、そのお薦めが正しいかどうかなんかはわからん。マニアの世界はわからん。が、ともかく手探りの段階の人間にとって、これは助かる。まあいいんじゃねえのって。
 そんでもって、次に道に出るときの怖さがある。そこんところも、だいたいの流儀を教えてくれるし、あーと、めんどくさいや、乗車姿勢や乗り降り、タイヤの外し方、パンクの修理、油どこにさすかとか、チェーン洗えとか、そこらへんが写真付きでさ、もちろんネットで探しても出てくるようなもんかもしれないけど、そのへんがまとまってると頼れる気になる。
 んでもって、さらに、どのように楽しむかという示唆と、さらには「やがてクロスバイクに飽きてきたら」というところまで指し示しているところが、なんともいい。その先にはMTBやロードの世界があるぜって。あくまでクロスバイクは中途半端な存在だよ。でも、そこがいいんだぜって。
 うーん、いや、いい本。オシャレ万歳系の自転車趣味でもねえし、体育会系でもない。ちょうど、俺みたいな、できれば自転車趣味的など真ん中とは無縁でいたいというような、そういうところにも、すっと入ってくる無色の感じがある。でも、ここまで手放しでほめちゃうのは癪だぜって、よくわかんねえけど、まったく、なんというか、俺はどこかで安いクロスバイクなんかにうつつを抜かす自分に、それによってすごくヘルシーになっていく自分に、何かしらの不満を感じているというか、よくわからないが、ともかく、クロスバイク関係でとりあえず一冊といえば、これを押さえておけばいいと思う。自転車ツーキニスト、と、打つのも抵抗あったが、まあその辺、抵抗あろうがなかろうが、まあいいんじゃねえのって、そう思う。う。う。

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クロスバイク購入への道……この本は、この日の午前中にランドマークタワーの本屋で買った。昼飯喰いながら読んだ。それでも役に立った。もちろん、たくさんのウェブサイトも役に立つ。