死んだ静かな街にしょぼく吊されろ鯉のぼり

 日曜日、伊勢佐木町をどんどんどんどん進みながらふと川沿い方。

 しずかで何もなく、川沿いにおっさんのぽつんぽつん座る日曜日。

 かぞえきれない桜の花の散ったあと、残骸の浮く川の水面の惨め。

 なんの夢も希望もない沈没船も、ここにいすわって長いとみえた。

 夜の黄金町、ひっそりと息づくものもなくひとり写真撮る俺だけ。

 川にめざしのように吊された鯉のぼりたち、いずこに泳ぎもせず。

 いずこに泳ぎもせず鯉のぼり、鯉のぼりら闇夜に照らされもせず。

 ハーモニカ横町の灯りだけ煌々と、みなとむかしの夜はふけゆく。