俺が生涯で一度だけ本気になったときのこと

 ↑上のような見出しを見て、自分自身を鑑みて、思い浮かぶことは一つ。小学生のころ……、って前に書いていたので引用。

昨夜本を読んで遅くなった俺の睡眠時間はかなり少なく、今日の昼以降はほとんど寝ていたようなものだった。しかし、夕方頃から栄養ドリンク飲んで目が覚めてくると労働意欲が澎湃と湧き上がり、日が落ちると強靭な集中力で職務に専念できたのである。このハイテンションこそは睡眠不足で何かが半分寝たようなところに栄養ドリンクのカフェインが作用したように思え、疲れによってある部分の無駄を削ぐことによって作業に多大なる効果をもたらしたと考えざるを得ない。シャブやヒロポンを打てば三日四日の徹夜麻雀をこなせるとか牌の裏側が透けて見えるとかいう話だが、人間の疲労など所詮脳の作り出したまやかしであってそこを抑制制御できれば人間は不眠不休不死の存在となって火の玉のように働けるに違いないのである。そういえばあれは俺が小学六年生で中学受験を二カ月か三ヶ月先に控えたある夜のことだったが、俺は寝ようとするまさにその前に雷光に体を撃ち抜かれたように焦躁感の虜になって、いてもたっても居られなくなり、本棚から語呂合わせの年号暗記参考書を取り出して一心不乱に暗記していった。俺はあの時ほどの焦躁感と集中力はその後の人生において一度たりとも感じたことはなく、今日の仕事のはかどりなどあの夜の集中の百分の一にも満たないだろうと確信する。そうだ、俺はあの夜に一冊の参考書を丸暗記した、と書けばよくできたエピソードのように思えるが、俺は佐藤優の如き天才ではないのでたいして覚えられるはずもなくその後特に受験勉強に身が入ったわけでもなく、或いはあの夜の焦躁感と集中力で一生分の何かを使ってしまったのではないかと疑いもするほどだ。ああいう感覚を維持できる、いやあれほどの感覚でなくとも、せめて今日の俺のテンションも常に持って生きられる人間ならば、それは通常の勤め人としてかなり働けるように思えるし、そういうことになれば体の疲労など関係なく働けるだろうし、俺はそういう薬があれば俺も毎日サラリーマンのような格好をしていっぱしのサラリーマンと同じく不老不死の存在となって働けるかも知れないのだ。いや俺がサラリーマンに対して引け目を取るのはほとんど人間関係の構築に対する奥手に起因しているのだからそれには別の薬が必要に違いなく、その面においてもある種の抑制睡眠によって他方を活かせるような何かは可能かと思えて仕方ないが、当面のところタール、ニコチン、アルコール、亜鉛、ビタミン、ソラナックスに頼るほかないのである。

ヒロポン - 関内関外日記(跡地)

 上記太字部分。書いてから四年ほど経つが、まったくこの通りであって、俺はあのときの焦躁感、集中力、やる気、そんなものを二度と味わっていない。脳のセロトニンの再取込を阻害してみたりしても、あの心持ちにはなれない。あれはなんだったんだろう? あの感覚が降ってくるというのならば、一錠五百円くらいは出してもいい。俺はそう思う。
 しかしなんだ、日記を再利用すれば、楽だな。いや、別に言葉を打つのは苦痛じゃないんだけれども、最近、なんか、肩とか腕とかが痛くて、それは自転車由来というより、どうもマウス&キーボード由来であって、フェルビナクインドメタシン、トクホン、サロンパスなどに頼るほかないのである。

【第3類医薬品】トクホン 140枚