僕は30歳、結婚詐欺もできるお年頃。

東京都豊島区の無職の女(34)=詐欺罪で起訴=の知人男性が相次いで死亡していた事件で、女が病院で睡眠導入剤を処方されていたことが捜査関係者への取材でわかった。

http://www.asahi.com/national/update/1028/TKY200910270490.html

 この一連の報道、まだ何人かの男性の死亡については逮捕すらされていないので、なんともいえない。ただ、この件で自分が「あれ?」と思ったのは、結婚詐欺の罪で逮捕されている女性の年齢が34歳だということだ。
 なんというか、自分と4つしか違わない。自分が小学生である時分、彼女もまた小学生だったのだ。いや、たった4つだ。大人の尺度では、ほぼ同世代といってもいいかもしれない。それが、もう、結婚詐欺の容疑で逮捕されたりしている。
 なぜ意外に思うか。統計上の話は知らない。なんとなく、自分の中で、女性による結婚詐欺というのは大人の犯罪という気がしているからだ。もちろん、若い女性が年輩を手玉に取るようなこともあるだろう。でも、どちらかというと、この女性のような感じ。凄い美人でもないような、それほど若くもない人が……、というような。
 まあ、勝手なイメージだ。で、そのようなイメージの人が、あれ、俺と大差ない年齢なの? と。それで、結婚をちらつかせて、年上の男性を手玉にとってしまうような、そんな容疑で逮捕されてしまうの、というような。なんというのだろう、なんか、ああ、俺もそんな歳なのか、と。本当なら、結婚詐欺くらいしていなければならない歳なのか、と。いや、俺は男なので、多少は事情が違うかもしれないが。クヒオ大佐っていつからはじめたんだろう。
 で、だからなんなの? というと、ともかく自分は人生経験が足りないというか、そういうところだ。こう、結婚に限らず、詐欺を働くとすれば、相手とのコミュニケーション、交渉能力はもちろん、いろいろの仕組みなどを知った上で、それを欺いたり、隠したり、そういったことも必要だろう。それについては、たぶん、本から得た知識などでは無理なことで、実際にいろいろの場数を踏んだりしていることが必要になるはずだ。ところが、俺ときたら、結婚どころか他人の、親戚の結婚式に出たこともない。実印登録というのも、昨日生まれて初めて手続きしたくらいだ(親の連帯保証人にさせられた。いきなり夜逃げしたり、傷害事件を起こしたりするかもしれないので、よろしく)。なんというか、オフィシャルな? というか、公的な手続き的体験が少ない。
 しかしまあ、このあたりの経験というものは、それこそ結婚をするだとか、子供ができるだとか、家を建てるだとかの、そんな事業によって積みかさねられていくものであって、「いっちょ体験してみるか」というわけにはいかないような気もする。
 ……というか、なぜ詐欺を働くためのスキルアップについて考えてしまっているのだろうか。よくわからない。まあともかく、俺は結婚詐欺を働く器量、度胸、知識もないし、逆に、結婚詐欺師に狙われるだけの財産もないので、まったくもって安心なのだった。やったー。おしまい。

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