ここのところネットでよく見かける事業仕分けにおける科学、基礎科学の扱い云々について。はてななどは、やはりインテリが多く、批判意見が渦巻いている。もちろん、科学界が庶民にその意義や役割、魅力を伝えてきたか、などという反省なども見られる。
で、俺はどう考えるのか。いや、俺が考える必要があるのかどうか。というか、考える資格があるのかどうか。まあ、貧乏とはいえ日本国に納税する身だ。関係ないはずがない。とりあえず、考える。でも、俺の科学に対する知識というのはすごいよ。中学生の、いや、小学生の理科のテストで満点を取るどころか、及第点を取れるかどうかあやしいところだ。算数にいたっては、もうなにも言うまい。文系高卒、それでもなんとか生きています。
で、そんな俺がこの仕分けをどう見たか。どう結論するのか。
判決、科学無罪。科学万歳。はっきりいって、どっか海の向こうの発展途上国のガキに金を使ったり、そこらの路上で寝ているおっさん、あるいはそうなってしまった俺に使うくらいなら、もっと日本の科学力を強まらせるべきであって、科学が強まることが最高に楽しいに決まってるし、俺にもっと未来を見せてくれなきゃ嫌だ。もっとサイバーで、サイバーパンクで、サイエントロジーな未来になるべきなんだ。街中を見ても、まだアンドロイドやガイノイドが歩いていないのはおかしいことだし、俺の脳味噌がなんか電脳っぽくなってないし、そのあたりはしょうもないと思う。もっと身体も遺伝子もいじるべきだし、そのために基礎科学が必要だというなら、がんがん金をぶち込んで、かしこい人らに働いてもらって、かしこい人たちもかしこくなるドラッグとか、寝なくても働き続けられるドラッグとか、そういうものでばんばんドーピングしてますますかしこくなるべきだし、すごく夢は広がると思う。それで福祉だとか貧乏人の教育だのが打ち切られて、俺も電脳寿町のサイバーホームレスになって光学迷彩の毛布を被って寝ていたら、ヒドラジンで走る近未来ロケットバイクとかに轢かれて死んだりすれば、それはそれで本望だと思うし、共同墓地に刻まれたQRコードにアクセスして、この日記でも読んでもらえれば幸いだ。
……って、こんな単なるSF気狂いみたいな結論でいいのだろうか。ただ、これはもう、なんというか、俺の本心であって、ともかくSFっぽければなんでもいいんだ。青いLEDの光が人の自殺を防止しようが促進しようが、SFっぽいからいい、そういう立場だ。だいたいもう、「大型放射光施設SPring-8」などと言われたら、俺の中の仕分け人が字面だけで「無罪!」みたいなものである。
wikipedia:SPring-8
輝度・エネルギー・指向性などの点で世界最高級の放射光を発生させることができる。エネルギーが数keVから100keV程度のX線領域の光を中心に利用されるが、よりエネルギーの低い赤外線を発生させることも可能である。またレーザービームを逆コンプトン散乱させることによって最大2.4GeVの単色ガンマ線を作り出すこともできる。
ほら、もう、何言ってるかわかんねーけど、これは許せる。「発展途上国に温暖化対策費」なんかより、ずっと価値がある。なにせ「レーザービームを逆コンプトン散乱させる」んだぜ。「コンプトン散乱」だけでももうやばいのに、「逆」とかついたら、はっきり言って平伏するしかないだろう、と。
ああ、でもこれはよくないな。俺の中の仕分け人が「まんじゅうはないんじゃないの?」って難色示してるよ? どうする? ここは、「逆コンプトン散乱Tシャツ」とか、かのトルコ人初の宇宙飛行士候補アニリール・セルカン博士がデザインした……。
……と、ここまでしか書いて「下書き保存」してたのを、もう書き終わったものと思ってて、ちょっと自分の日記見て「あれ、さっきの記事がない! はてなはなにやってんだ!」とか思ったりして、もうここまで。
でも、もうちょっとマシなことを書こうと思ったんだった。俺が科学によせる関心と共感は、上に書いたのは極端にしても、まあそれなりのもののつもりだけれども、俺が科学を解していないという点で科学的でない。そのような科学への支持は後ろ弾になりかねないのではないか、とか。
あと、まあ、その、やはり生活者、それもその、ドヤの横で明日のドヤ候補として生きている人間から見て、研究者や科学者の胸を打つような演説も、まあ届かないよな、とか。やっぱりその、上に書いたようなのは極端としても、結局予算の奪い合いってのは、基礎科学なら基礎科学が、「人の生き死にや貧困問題」より「世界最高級の放射光を発生させること」をぶっ放す方に価値があるんだって、そういう話をしなきゃいけないんだというところがあって、そこで、「科学の発展は病気や貧困、人の生死すら克服してみせる!」とか大風呂敷……は広げすぎにしても、そこんところの覚悟がなきゃいけないんじゃねえかと思う。そりゃまあ言いにくいことだろうけど、やっぱりそこで、科学はすげえんだぜって、馬鹿にも、俺にもわかるように、言ってくれよってさ。いや、このあたり、もっとまともに書くべき。でも、まあいいや、所詮俺は俺だし、こんなところで。
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- 『天体による永遠』ルイ・オーギュスト・ブランキ - 関内関外日記(跡地)……だいたい俺は19世紀のテロリストが書いたでたらめな宇宙論ですらようわからん。でも、当時の大衆、ブランキ自身が「教育が必要」って言った大衆だってついていけないやつだらけだったろうし、これがもう現代科学となったら、いったいどれだけ難しいのか想像の埒外。たとえば、科学と一言にいっても、壁一枚向こうの分野のことを、科学者というのはどの程度わかっているのだろうか。