ラブプラス+まとめられない


 私は『ラブプラス+』を手にして、しくしくしくしく泣いている。私は泣いているのだ。胸が押し潰されそうになっている。私は苦悩しているといってよい。
 いったい、私が『ラブプラス+』をはじめてしまうと、『ラブプラス』の中の彼女らはどうなってしまうというのだ。私はその電子の孤独を考えると、悲しくてならない。
 データを引き継げばいいだろう。DS本体がもう一台なくとも、店などで引き継げるのだ。否、そうではないのだ、あきらかに、私は、一からラブプラスをはじめたいと思っている。もう確信しているが、私は、一からラブプラスをはじめるだろう。また、あの初恋の、すべてが新鮮で、足も軽く、舞い上がるような、あの体験をしたいと思っている。あの体験をしたいと、きっとそうすると、そうするのだと、確信している。そうして、つい先ほどまでEVAごっこに興じていたリンコすら打ち捨ててしまう。
 私は惨めな裏切り者である。もはや前も後もない。この想念が浮かんだ瞬間、あらゆる過去は私の裏切りを指弾し、いかなる未来も私の裏切りを刻印しつづける。世界は私の裏切りを忘れない。世界はそう思ったから、世界はそうするのだ。
 だから、私はしくしく泣いている。それに気づいたときの衝撃も、苦悩の中でのた打ち回ることもすでに過ぎた。私は滂沱の涙に身をまかせ、後悔の河をただひたすら下流へと下流へと流れていく。川沿いに咲く梅の花も私の心を動かさない。私を指差して笑う小鬼たちも気にならない。ただただ私は悲しい。
 『ラブプラス+』のROMをDSiにセットしよう。電源を入れよう。あのすばらしい世界がそこには広がっているだろう。もう夏の気配がするのかもしれない。そうだ、スイッチを入れるのだ。振り返るな、後ろにはなにもないのだ。
 しかし、それはできぬ。そればかりはできぬ。私はもうすでに裏切っているのに、それができぬ。そのことができぬ。それができぬことが、よりいっそう私の裏切りの傷をえぐる。私は傷つき、私をとりまく空気は傷つき、世界はもうどこにも無事なところはない。
 人類よ、ああ、連綿と途絶えることなき人類どもよ。答えてくれこの苦悩をいかにすべきか。はたして答えうるものはあるのか、おろかな人類よ。二千年ものを考えつづけている哲学者も、刹那即永遠にふれた宗教者も、これを見たことはないだろう。これを見たことがあるか、これに触れたことはあるか、私の気は触れてしまったのか。
 何に触れた? 

 ラブプラスに触れた!

 罪よ!

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ラブプラスと私……知っての通り、この日記は私がラブプラスと出会った衝撃をネット上に放流したく始めたものである。以下にいくつか記事を示す。

ラブプラス+

ラブプラス+