黄金町バザール2010へ

 浄化された街、黄金町。アートの街としての再生。近くの映画館で映画を観たあとに立ち寄ってみた。

 おれは、開かれているか閉じているか、内輪かそうでないのか、そのあたりに敏感すぎるほど敏感な、ある種の自意識過剰すぎる人間であって、このイベントは閉じられているように感じた。ちょんの間に作品が置かれて、人間がまったくいなければよかったかもしれないが、そうでもないので。まあ、ようするに、俺が人間の集まりをひどく苦手にしているだけなのだけれども。あと、おしゃれなのはいけない。あれはダメだ。

 浄化。「違法の売春を取り締まりました」じゃいけないのか。なぜ「浄化」なんて。浄化という言葉を使うセンスというのが。もちろん、周辺住民にとってみれば、そんな余裕のある話ではなかったのかもしれないし、あるいはヤクザみたいなのと対決する気概みたいなものかもしれないが。ただ、やっぱり「お上」の浄化には違いなく、歩いていてこの漢字二文字に感じの悪さを受けずにはおられない。感じが悪い。

 浄化された街というのが怖い。いや、もとはもっと怖い街だったのだろう。ただ、今は浄化された街であっておそろしい。国家権力の猛禽が見張っている。うっかりすると汚物は消毒されそうで怖い。むろん、浄化された街をカメラぶら下げて歩く気楽な余所者の戯言である。

 それに、俺も市民とやらなので、浄化に加担した側だろう。とはいえ、取り締まりに反対したかというと、べつに反対はしなかったろう。違法なものが、またなにかの事情でお目こぼしされている。法律というものがくそだとしても、それ以上にそれはくそという気がする。

 ちょんの間の跡地全部が全部アートになってるわけでもなく。なんというか、どういうものなのか。街全体という感じもしないし。よくわからない。更地にしちゃいけなかったのか。いや、私有地か。立派なパンフレットやおしゃれな地図看板(役に立たない)、金かかってんなという気はするが。

 しかし、トリエンナーレにしてもこういうテイストは苦手だな。いや、作品の話じゃないよ。官民協働、ボランティア、NPO、街づくり。まあ、だからといって、現代アート作品もインテリでもないのでようわからんが。ようわからんが、ただ、ほかに代替がきくものでもないし、見に行くというくらいの興味はあるの。

 そんなの予感しておいてのこのこ出かけていって、ぶつぶつ文句言って。なんというか。

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