今年の日本ダービーに一頭の馬が出走しない。クラスコグランデという名の馬である。クラスコグランデは3歳1月にデビューして2着、未勝利戦を勝ち上がるのに3戦を要したが、その後、特別、重賞(京都新聞杯)を連勝し、晴れの大舞台に望まないのである。
……というわけで、皐月賞とNHKマイルカップを現地で見ておきながら、さっぱり現在の競馬に疎い俺は、クレスコグランドのことをクラスコグランデと思いこんでしまったのである。初めて字面を見たときに、「クラスコグランデ」と脳が適当に処理してしまったのだ。そんな馬はいないのである。
しかし、どうだろうか、クラスコグランデとクレスコグランド、どちらがいいだろうか。俺は自分の脳内で生成されたというひいき目もあるが、クラスコグランデの方がいいと思う。「クラスコ」はなにかイタリアやスペインの風だし、そこに「グランデ」と形容がつくところがいい。「クラスコ」の意味を調べてみたら、「クラウド×スコール」という謎の関係性が垣間見られたりもするのだが、それはどうでもよろしい。ともかく、なにか雄大な感じがするし、スケール感がある。悪くない。
では、クラスコグランデの血統はどうなのか、という話になる。サラブレッドに血統はつきものだからだ。母の母の父にグランディなど入っているとダービーにふさわしいグランド感が出てくるかもしれない。悲劇性もある。母の父はエルグランセニョールがいいだろう。グランでセニョールだからである。ロドリゴデトリアーノでは少し軽いといえる。問題は父だ。父サンデーサイレンス系というのはあまり面白くない。グランデ感が薄いのだ。しかし、グランデ感がちょっと強いからといって、グランデラではいまいちイメージがわかない。そこで、ロックオブジブラルタルはどうだろうか。スペイン風などと思えばなかなか皮肉な繋がりではある。血統的に成立しうるのかどうかは知らない。
どうだろう、なかなか悪くないじゃないか、クラスコグランデ。馬場が渋ったら有利という感じがする。イメージしてみよう、雨降る薄暗い府中の直線、わりかし筋肉質の馬体が、泥芝をはね飛ばしながらゴールに駆け込んでくる姿を。騎手のともすればオーバーアクションの鞭に応え、足取りは力強く、着差は、一馬身、二馬身と開いていく……。
よし、決まった。今年の日本ダービーの本命はクラスコグランデだ。ただし、どうもその日本ダービーの馬券は現実的に買えないようなので、それについてはまた対処したいと思う。おしまい。
※クラスコグランデマークの馬はhttp://all-silhouettes.com/から。というか、こんなマーク作ってどうするというのか。
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