【お詫び】やはり競馬をやるべきだ〜2011年日本ダービー観戦記〜【訂正】

 その男はただ競馬場にいたいだけなのだと思う。気がつけば足を運んでいる。たとえ負けっ放しだとしても、彼にとっては何らかの意味があることなのだ。いるべき場所。ひどくばかげた夢。しかしそこはうんざりさせられる場所でもある。不確かな場所。自分だけがものの見方をわかっていると誰もが思っている
チャールズ・ブコウスキー『死をポケットに入れて』

 上記エントリにつきまして、この日記ブログの数少ない読者に、あるいは検索エンジンの誘導でたまたまた訪れた人に深くお詫びするとともに、このエントリを以て訂正とさせていただきたく存じます。

 なぜならば、競馬はやったほうがいいからです。

 「え、よかったのかい?」

 「こんな雨の日に?」

 そう、雨の日に。

 薔薇の花咲く競馬場で。

 馬たちが薔薇のために走るのを見て。
 そしたら、楽勝で100円が110,380円になったりするからに決まってるだろ。ふざけんな、大声出せ。俺をほめたたえろ! 


 「ハッハッハッ、さすがだな」「11万馬券なんてすごいわ」「なかなかやるじゃありませんの」「たいしたものよ」「ふぅーん、やるねぇ」「もっと鍛錬するんだぞ」「にゃにゃにゃ、すごーい」「まったくやるじゃないか」「すごいと思う」「毎回こんなことやろうったってムリダナ」

 まあ、また例によって亀マジサンクス事例である。馬場状態から内枠・先行有利、ミスタープロスペクター系有利ということで本命を2枠のトワイニング産駒にして、そっから流した。そして、最低人気の柴山の馬に「爆血」マークが付いていたので(馬柱の◎に見えるのは「C」で、俺が該当馬につける印)、何も考えずに連下に加えたというだけである。

 というわけで、俺が参考にしているのはこの亀谷敬正氏のサイト。……などと紹介すると、なにか自分がインチキ競馬予想ビジネスの片棒を担いでいる気分になるわけだが、しかし実際に一利用者として参考にしているのだから仕方ない。馬券へのアプローチはこういった統計的な血統から、一つの血統表を注視する血統理論もあるだろうし、スピード指数や出目、高本、馬券へのアプローチはなんでもある。
 その中で、たまたま俺にはこれが合うのだ。競馬始めたころの「ラグビーボールの左回り」みたいなので儲けた感じ。血統統計はスピード指数よりも物語的なところがある。まあ、別に似たような予想をする競馬人はいるし、たぶん、JRA-VANとか使えば自分でできるんだろうけれども、おっさんにはパソコンようわからんから、おすすめを機械的に出してくれるところまでがありがたいといえる。いずれにせよ、この方法なしにこないだの馬連7万もなかった。なにを言おうが、馬券は当たらなければつまらんし、大きければうれしい。
 そして、このサイトが存続しくれると、俺にはありがたいから、無駄と分かっていて紹介する。あと、俺は、身銭を切って、だいたい自分がいいと思ったものを紹介しているので、お前らはアフィリエイトのリンクを積極的に踏むべき参考にしてくれるとうれしいです。

 というわけで、競馬場にはお金が落ちていて、それを拾って懐に入れても誰にもとがめられないのです。長引く不況に震災と原発事故のもたらす悲観的な経済事情、しかし、競馬場でお金を拾えば老後の不安もなくなるといっていいでしょう。その事実がありながら、「競馬をやめたほうがいい」などと言ったことを撤回し、お詫びしなければいけません。ふたたび、初心者用競馬場ガイドに目を通していただき、来週競馬場に足を運んでいただければ幸いに思います。


 だって、ときには世界の名手デットーリだって来るのですよ、日本の競馬には。

 この世界の名手の手綱さばき! (このあとべつの外国人二人に差されるわけで。この世はまったく地獄である。ちなみに、このレースは勝った人気薄のピエナに血統的な印がついていて連下には抑えたが、本命を吉田豊マヤノトップガン産駒にしてしまった。ロッカヴェラーノ乗り替わりの鬱憤を晴らすのではないかという人情予想である。マナクーラは買えるので、後悔している)

 というわけで、馬主も調教師も騎手も夢見るダービーです。ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム氏、通称モハさん、もといモハメド殿下も日本のダービーを目指してくる時代なのです。一昔前なら考えられなかった。

 イケメン王子? も見に来ています。

 しかし、同じパドックで、一年に一頭の馬しかもたないバッティングセンター製造の馬主が、家族と記念撮影をしているわけです。子供が勝負服を着ているのがいいじゃないですか。

 馬も、「俺の応援?」とか思う。
 と、そんなこともあって、デボネアではなくクレスコグランド本命で行きました。このあたりの機微は先週のこのブログを読めばわかる(わからない)。クレスコの単勝馬連がメーン。あと、オルフェーヴルは普通によく見えたので、クレスコ―オルフェーヴルからの三連単フォーメーションに、人気薄とオルフェーヴル馬連とかと、なぜか大レースではいつも買う三連複五頭ボックス。

 とかいうのがまた当たってしまって、本線馬券の外れを補って余りある感じであって。ウインバリアシオンベルシャザールはベタに血統と馬場からの買い目。ウインは、青葉賞はタイム遅いからレベル低いとかいう前評判で、俺もそう思ってたけど、こんな時計関係ない泥馬場じゃ父ハーツクライとかがいいんじゃねえか、最内いいんじゃねえかとか。ベルシャザールは亀マジサンクスさんが推奨してて気にしていたし、父SS系地獄の中の父キングカメハメハに魅力を感じていた。ただ、馬体重がなんか極端で本命にはしなかったものの、パドックで五番六番七番とよく見えたので買った。ディープインパクト産駒はとくに根拠もなく軽視。ユニバーサルバンクはなんか重馬場適性だけの大駆けが怖かったので抑えた。

 そういうわけで、勝負に負けて馬券に勝ったところのある日本ダービーだったわけだ。三連複で二万馬券とかいえば、だいたい結構興奮していいはずが、感覚が麻痺しているところもある。

 とはいえ、池添に拍手、オルフェーヴルに拍手。考えてみれば、なんとなく大レースで池添の世話になったこともあるような気はするし、兄のドリームジャーニーで儲けたような記憶もある。悪くない。

 そして雨中、ずっとどこかへ歩いて行くオルフェーヴルを追いかけたりもする。

 ……だんだん、なにを書いているのかわからなくなってきたが。ただ、競馬について書きたいなにかはあるんだな。それが、先週のこの日記ブログだ。それで、競馬の神さまみたいなのが、「よしこいつを地獄に引きずり込もう」ってご褒美くれたんだろ、たぶん。

 まあしかし、本当にこれから競馬を始めようとしている人間が存在しているのかどうか。いくら悪天候とはいえ、これが東京優駿の人出か、という。中央フリーウェイもむせび泣いている。いや、俺が知っている十数年前が異常だったか。ただ、飯屋のおばちゃんは不況が顔に出やすいし、どうもね。
 ただ、ひとつ言えるのは、人が少ないから俺は行く気になったということだ。もしも日曜日が晴れ予想だったら、行ってなかっただろう。「天気が悪いから人が少ないかもしれない」というのが大きな動機だった。晴れていたら自転車を漕いでいたと思う。自転車で船橋法典まで行って「ダービーを見に来たのに馬が走ってなかった」ってネタやってたと思う。だいたい、サンデーサイレンス運動会、おもしろくなさそうだしよ。雨降ってくれてよかったわ。

 まあ、そんなわけで、競馬の話題を書くのもこれがシーズン最後となったわけで、当分は競馬のけの字も田面木のたの字も出てこない。俺が競馬をやるのもやらないのも自由だし、お前がやるのもやらないのも自由だ。ただ、最後に、競馬を知らないお前に言っておくが、競馬場の中は文字通り地べたに寝ているおっさんからアラブの王様までいるし、馬券ばっかり買って馬見ないやつもいれば、写真ばっかり撮って馬券買ってなさそうなやつもいる。ノートパソコンで予想しているやつもいれば、手ぶらのやつもいて、まったく何もかも好き勝手やってる。やるのもやらないのも自由だ。入り口で入場料の200円だけ払ってしまえば、あとは芝生の上で一日中寝っ転がっていても、だれもなにも言わないのだ。まあ、雨の日にはおすすめしないが。