はっかたばこのこと


 コンビニのレジカウンタで寿町のおっさんとレジの女の子がやり取りしてる。煙草の銘柄についての問答。で、レジの女の子ね、これがめずらしく日本人、というか震災後にやっぱり中国人店員減ったかもしれないんだけど、まあいいや。それで、女の子が「これはハッカタバコですよ。いいんですか?」と言うわけ。それで、おっさんというか、じいさんが「それ、ハッカ、ハッカ」言うの。
 それで、おれ、「ああ、メンソールね!」ってね、ハッカタバコ、そんな言葉あったよな、みたいに思ったの。いや。「あったな」って、俺がメンソールを指して「ハッカタバコ」ってわざわざ言ったことがあるかどうかは知らんけど、そうだ、メンソールはハッカタバコ、薄荷煙草だったんだなって。おやじはそんな風に言ってたっけな、とか。
 まあしかし、俺がよく煙草を吸っていたころのことを思い出すに、メーンの銘柄に加えて、かならずメンソールも切らさなかった。メーンの煙草といえばジタンでありジョーカーであったわけだけど、それに加えて、メンソールを一緒に切らさなかった。で、メンソールに関しては、銘柄をとくに決めはしなかった。ケントだったり、マルボロだったり、あるいはセーラムだの、カプリだの、おやじが見ると「こりゃ女の煙草だろ」とか言うようなやつだったりもした。メーンの銘柄はこれと決める一方で、適当に選ぶ楽しみをメンソールに見出していたのかもしれない。
 そんなことを思い出していると、なんかこう、口というか、鼻というか、喉というか、脳というか、そのあたりに煙草の味が蘇ってくるところがあるわけ。いっそのこと買おうかな、みたいな気持ちになる。でも、レジの子がじいさんに告げた金額を聞いて霧散した。あと、俺ってジョガーじゃん、ジョガジョガ。今日も6.3km走って息も上がらんかった。まだ走れる。喫煙はしばらくしない。そして、俺がときどき煙草の追憶を書くのは、喫煙のかわりだと思っていい。

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↓この回答は詳しいな。

日本で初めてメンソール煙草が発売されたのは、戦前の昭和13年のことで、銘柄は「さかえ」です。黄色をバックに赤い稲穂のようなものが揺れているという、青や緑などを基調にした清涼感をもたらす昨今のデザインとはまったくことなったデザインでした。この「さかえ」の段階ではまだ側面に「(薄荷入)」と表記されています。続いてメンソール煙草が発売されたのは昭和32年で、銘柄は「みどり」で、側面に「(はっか入)」とあります。
続いて昭和41年(?)に入って、「泉」、またそれ以降に「mf(エムエフ)」と発売されましたが、側面に説明は入らず、表のデザインの一部に「menthol」と、英文表記でメンソールを表す言葉が入りました。おそらくこの頃(昭和40年以降)からメンソールという表現が一般化したのでははないかと思います。

ハッカたばこ最近では、メンソールと言う名が当たり前ですがかなり昔は、「... - Yahoo!知恵袋

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 ……あれ、寿町のコンビニで、じいさんが「日の丸!」って言って、店員がすかさずラッキーストライク出して、「フハッ、そういう呼び方があるのか」と感心した話はどこで書いたのだっけ。