ダイエット中のおれが『花のズボラ飯』を読むこと

花のズボラ飯 『花のズボラ飯』というのもあるのか。というわけで、新幹線の中でジェットを炸裂させないように様子を見ていたのだけれども、ついつい買ってしまった。
 井之頭五郎とはほぼ対極といっていい主人公である。ズボラなのである。このズボラ具合はだいたい【ゴミ屋敷】タグ級のものであって、Amazonのレビューなどでそこに露骨に嫌悪感を示す人もいる。わからないでもない。
 なるほど、画面はかなりごちゃごちゃしているといっていい。トーン少なめの細かい描き込みに、これでもかとねじ込まれるオヤジギャグ。さらに、花の妄想や思いつきがどんどんビジュアルとして詰めこまれてくる。逆に、スカッとした抜けのようなものはない。各話最後のコマなど、もっと大きくバーンとなったらナイス余韻みたいな気もしないでもないが。ただ、おれはこのごちゃごちゃはいいと思う。スカッとしててズボラはないからだ。
 また、やけに色っぽい絵柄に嫌悪感を示す人もいる。わからないでもない。飯の絵よりも花の顔に気合が入ってるといっていい。でも、だいたいにしてズボラ飯なのであって、やけにホカホカーしてみてもしょうがないだろう。
 本屋のシーンで『マゲ天』の単行本が混ざっていたり、部屋の中に「わたわた」(私の内蔵綿ばかり)シリーズのぬいぐるみがないか探してみたが、そういうものはないのか。


 ズボラ系の飯、独り暮らしの食生活のようなネタは往々にしてある。ただ、ズボラの方向がやはり人によって違うというところはある。どんなにB級食材であっても、その手順の多さは全然ズボラじゃねえだろうが、というような。そのあたりは、まあどうしようもないだろう。ただ、どこかで「あるある」があるわけであって、なにかしらしょうもないところで繋がっているところがあるといっていい。
 おれはと言えば、実のところこの手のB級というかC級手料理のようなものとはあまりなじみがない。いや、おれとてもう10年近く? 独り暮らしをしているし、98%くらいの晩飯は家での自炊だ。ただ、お好み焼きと決めたら平気で1年、2年続けるし、野菜スープ(ポトフ?)のようななにかといえば、そればかり続ける。その中で微妙に変な具材を投入していくところに面白みがある。となると、あり合わせの材料、組み合わせの妙、的なものは、少なくとも冷蔵庫のストックからは生まれにくいからだ。
 そして、最近のおれの晩飯はといえば、だいたい2パターンだ。ひとつは、こんにゃくソーメンのようなものになぜか異様に安いキュウリやトマトを切ったものを載せ、ツナ缶(水煮でカロリーが1缶80kclくらい)を載せたものである。もうひとつは、オートミールの粥であって、中華風の味付けをする。具材はキャベツかニラか、前述のツナ缶、あるいは鶏のレバー。それらにインスタントのワカメスープがつくか、小さな豆腐が1パックつくかというところだ。
 これもズボラだろうが、あまり面白みはない。その上、ある意味でストイックでもある。言うまでもないが、おれは痩せるつもりなのだし、痩せてきているといっていい。そんな人間が『花のズボラ飯』を読んで、どうにかならないのかといえば、べつにならないのである。漫画はあくまでフィクションである。いちいち影響を受けて食ったりすれば、身がもたないといっていい。くれぐれも注意されたい。

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